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臨床情報「社交不安障害の評価スケール  LSAS-J」

社交不安障害の評価スケールについてのご紹介です。

まずは社会不安障害についてのおさらいです。

社会不安障害 (social anxiety disorder:SAD)とは・・・
SADの子どもは,恥ずかしい思いをするかもしれない,あるいは拒絶されるかもしれないような社会的状況に対する激しい恐怖を経験します。彼らが通常恐れる状況としては,クラスに入る,新しい友達と話す,クラブやスポーツのチームに加わる,パーティやその他の社会的なイベントに参加する,などが挙げられます。また,SADはしばしば不登校の原因になることが多い。SADの実際の症状としては,顕著な不安に加えて,赤面,発汗,振戦,動悸,めまい,胃腸の不快感,などの自律神経症状が引き起こされます。また,彼らは対人関係が苦手なために,しばしば同世代の友だちと親密な関係を持てないことが多い。さらに,SADを持つ子どもは社会的スキルの発達が不十分で,その結果,社会との関係が限局されると報告されています。

・LSAS
社交不安障害の症状の重症度や治療の効果を評価する尺度としてLSAS(Liebowitz Social Anxiety Scale)が広く使用されており、日本語版はLSAS-Jといいます。LSASは社交不安障害の患者さんが苦手な行為(13項目)と社交場面(11項目)からなり、それぞれの項目に対してどれだけ恐怖や不安を感じるか、どれだけ回避するかの程度を0~3の4段階で評価し、その合計点(0~144点)を評価します。
社交不安障害やうつ病などの精神的な病気は身体の病気と違って、原因となる脳内の異常や、それが引き起こす心理状態を血圧や血糖値のように数値的に調べることができません。
医療機関を受診する前に、社交不安障害の症状をチェックし医療機関に持参することは、症状をより正確に伝えるためにも有効です。
もちろん他の評価スケールと同様ですが、これだけで診断をつけることはできません。確定診断には診察、場合によっては心理検査が必要となります。


<参考文献>
加藤晃司,ほか:小児・思春期‐不安‐.脳とこころのプライマリケア(下田和孝),pp.534-542,シナジー,東京,2010.

社交不安症の評価スケール LSAS-J調査票

記事作成 加藤晃司(医療法人永朋会)