臨床情報「高カロリーダイエットについて」
さて、今日は高カロリーダイエットという話題です。
「えっ?!」と思われる方も多いかも知れません。最近は色々なところで色々なダイエットが流行っているせいか、〇〇ダイエットと言っても流行りの一つかと流されてしまうかも知れませんが、しっかりと科学的根拠に基づいたお話しです。
というか、ここはメンタルクリニックなのになぜダイエット?と思われるかも知れませんが、別に流行に乗っているわけではなく、精神症状にも効果があり、結果的にダイエットにもつながる話です。
何が言いたいかというと、要するに糖質制限のやり方の問題です。
時々患者さんから、「糖質制限食で主食を減らすのはいいですが、食べるものが無くなって困ります。」という疑問を聞かれます。
診察内ですと時間も限られてしまうので、中々詳細までお伝え出来なくて困るのですが、そもそもなぜ人は糖質を取るのか、そしてなぜ糖質制限をするのかがわかれば答えは簡単です。
なぜ糖質を取るのか、それはエネルギー源です。それ以上でもそれ以下でも無いと思います。
そしてなぜ糖質制限をするのか、それは①糖質の摂取によって起こる弊害を防ぐのと、②糖質よりも利用効率のいいエネルギー源があるからです。
①の弊害については以前もお話ししていますので、今日は割愛します。今日は②の話です。
人は生きるために当然ですがエネルギーが必要です。動くだけでなく、呼吸をしたり、食べ物を消化吸収したり、代謝したり、全てにエネルギーが必要です。なので、カロリーを減らすという事はすなわちエネルギー不足を招くという事です。なので、食事制限によるダイエット、ファスティングはあまり好ましくありません。ファスティングの効果は糖質制限につながるからであり、何も食べないのがいいことではありません。ここを勘違いすると栄養不足につながります。
ダイエットでよくいうカロリー制限は実は根拠無い理論であることを是非知っておいてください。
そして、必要なエネルギー、カロリーとして最も効率の良いものはアブラです。
同じ重さの糖質から作られるカロリーは4に対して脂質は9です。要するに脂質の方が高カロリーです。
そして、糖質を使えるエネルギーに変えるためのプロセスで多くのビタミンや鉄分が消費されることはお話しましたが、最終的にミトコンドリア内のクエン酸回路に入った際のエネルギー産生の差は糖質36に対して脂質129です。
圧倒的に脂質の方がエネルギー効率が良いので、余計なビタミンや鉄の消失も防げます。
また、脂質はそれ単独では皮下脂肪としてはたまりにくいですが、糖質と脂質がくっつくと皮下脂肪として蓄積されます。
ですので、糖質制限をしておけば、いくらアブラをたくさん摂っても太り難くなります。これが高カロリーダイエットなのです。
脂質をエネルギーとし、ビタミン、鉄の消費を抑える事で脳の機能の維持にもつながります。また脳の組成の60%は脂質です。なので、脂質はものすごく重要です。
ただし、アブラであればなんでも良いというわけにはいきません。
油の話だけでも長くなりますので、今日は結論だけお伝えしておきます。
まず植物系のサラダ油はダメです。動物系の脂肪はOKです。
皆さんのイメージと違うと思いますが、サラダ油は不飽和脂肪酸といって非常に酸化しやすく血管を傷つけます。動物性は飽和脂肪酸なので酸化の心配が有りません。
火を通す場合はこれに気をつけましょう。
摂取する油は火を通さない方がいいと言われています。中鎖脂肪酸。オリーブオイルなどや、n-3と言われるエゴマ、亜麻仁や魚の油などです。また、細胞膜の材料になるリン脂質、レシチンなどが必要な油になります。
これらを組み合わせて、酸化しにくい血管と細胞を作ると、認知症も予防できるようになります
当然、鬱にもなりにくいし、ある種の発達障害も改善すると言われています。
また、血管が若くなれば、当然肌も若くなります。アンチエイジングにもつながり、太りにくい身体にもなります。
本当に油は重要です。
当院では医師による栄養解析・栄養療法、管理栄養士による栄養指導行っています。
医療法人永朋会 和光メンタルクリニック大阪中津
院長 白岩恭一