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臨床情報 「解離症状について」

 精神科の分野において、疾患とされる状態と正常の境界がクリアでないことはお気づきだと思います。

 DSM5において、これまで「広汎性発達障害」とされていたものが「自閉スペクトラム症」となり、症状の程度に応じて、正常から障害まで連続した状態と捉えられるようになったことは非常に合理的な考えだと納得しています。


 今回は、「解離症状」について少し触れたいと思います。
 
 解離性障害は以下のように説明されます。(厚生省「みんなのメンタルヘルス」からの抜粋)

「自分が自分であるという感覚が失われている状態といえるでしょう。
 たとえば、ある出来事の記憶がすっぽり抜け落ちていたり、まるでカプセルの中にいるような感覚がして現実感がない、いつの間にか自分の知らない場所にいるなど、様々な症状があります。」

 極端な例では、
 多重人格症
 解離性健忘(記憶がなくなる。)
 解離性遁走(失踪して新たな生活を始めるなど。)
 解離性てんかん(心理的要因で昏迷状態になる。体がおもうように動かせない、感じない。など。)

 
 上記以外の解離障害は「特定不能の解離性障害」として分類されますが、現実的にはこの「特定不能」を認める方がもっとも多いです。
 また、「障害」まで至らない、日常的に起きており本人がそこまで困っていない「解離症状」も非常に多く存在するだろうと考えられます。


 例えば、、

・ライトなものも含めて幻声、妄想、オカルト体験のジャンル。
 例えば、「後ろに誰かいる感じ」「小人が見える」「自分が自分じゃない感じ。憑依された感じ。」など、生活環境の異なる様々な方から同一の超体験の話を伺うので、ある種共通に起こり得るものだと思っています。

・解離状態の自己破壊行動、他者への暴力行動はしばしば問題となります。

 気がついたらリストカットしていた。記憶がないけどやけ食いをしていた。などのエピソードです。
 
 ※自己破壊行動とは、物質乱用・依存(薬物、アルコールなど)、自傷行為、様々な危険行動、摂食の問題など
 




 別の主訴で受診され、問診を進める中でこういったエピソードが挙がることが多いです。
 メインとなる病名はうつ病、自閉スペクトラム症、ADHD、不安障害、PTSDなど多岐に渡ります。
 
 過剰な同調性、過剰な感覚過敏、自我の弱さなど解離症状を引き起こすベースと考えられる心性とストレスや環境との掛け合わせを認めます。

名駅さこうメンタルクリニック院長
丹羽亮平