臨床情報 「『朝起きれない』睡眠相後退症候群の薬物療法」
『朝起きれない』睡眠相後退症候群の薬物療法〇
睡眠相後退症候群への対応は基本的に『寝るための環境』を整えることが一番になります。
・規則正しい生活を心がける
・朝おきたら日光をあびる
・日中に活動する
・夜間のカフェインなどの刺激物をさける
・夜間のゲーム・動画など視聴・スマホ(SNS)などのデジタル刺激を控えること
上記の中では、規則正しい生活については言わずもがなですが、
『眠れない、朝起きれない、朝だるい』症状に対する、昨今の最大の発症リスク、悪化リスクはデジタル刺激です。
ゲーム・動画・スマホ・SNSとも依存性が高く、控えることはなかなか難しいのですが、まずはデジタル刺激への意識の変化から促したいと思っています。
薬物療法は補助的な役割ですが、効果的と考えられているものは、メラトニンとエビリファイです。
メラトニンは生体内でも生成される睡眠ホルモンですが、メラトベルの商品名にて処方可能です。児童にも認可された唯一の睡眠薬であり、比較的安全性が高いです。
睡眠リズムを早いタイミングに変化させるために、「寝る前」よりも早めの内服が効果的であるという、報告もあります。
エビリファイは、不安や妄想への効果、気分安定効果など、精神科においては非常によく使われる薬ですが、少量内服ではドーパミン↑効果を狙えるため、起床のしやすさに繋がります。
環境調節だけでは、症状の改善の望めないときは薬物療法も考慮します。
名駅さこうメンタルクリニック
院長
丹羽亮平