うつは、自我機能がしぼんでしまったような状態に近い
うつは、自我機能がしぼんでしまったような状態に近い
自分と他人、外の世界を分ける壁を自我境界というものだとしましょう。
自我は風船のように、丸くなっていると考えると、少し分かりやすくなる時があります。
自我が小さくなると、精神エネルギーが少なくなって、元気なくなります。
自我境界に穴があいてしまえば、エネルギーが外にでていってしまいます。
例えば、統合失調症は自我機能が障害される病気です。
自我境界にほころびがでると、そこから他人の考えや、世界没落体験のように世界がくずれる、みたいな不安、恐怖が自分の中に入ってきます。
その時に、自我エネルギーも外にもれるので、統合失調症の人は時に、うつ病のような元気のない状態になることがあります。
このように考えると少し分かりやすいかなと思っています。
逆にうつ病の人も、一時的に自我境界がやぶられると、妄想がでるのはそういうことではないかと思っています。
うつの自我エネルギーは、外側からの自我境界への攻撃(環境や人、何かからのストレス)が継続していなければ、自然に回復することが多いと思いますが、攻撃され続けると壁がやられつづけるので、エネルギーの漏れがとまらないのでそっちをなんとかしないといけません。
穴さえふさいでしまえば、自然回復、外からエネルギーをいれてもらう(精神療法、カウンセリング的なもの)、でなんとかなります。
抗うつ薬は、イメージとしては、エネルギーを無理やり一時的に増やすって感じです。穴があいていたら、意味ないかなと思います。
このようなことを、自分で自覚できるようになると、うつを経て、改善したときには、自分自身への内的な観察力が上がり、病気になって悪いことばかりじゃないと思えるんじゃないかと思っています。
調子悪くなったことがある人の方が、観察力があがり、世の中の見え方が分かることとで、守備力だけじゃなくて、攻撃力もあがるんじゃないかと思っています。
医療法人永朋会 理事長
加藤晃司
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