共同注視とは何か、そしてそれが障害されるとどうなるか
共同注視とは何か、そしてそれが障害されるとどうなるか
共同注視という言葉、皆さんご存じでしょうか
英語ではJoint Attentionといいまして、結構、海外でも児童精神科領域において重要度が高いものと考えられています。
私も研修医終わって、東海大学の児童精神科に入った時、最初の方に教わったのですが単語の意味だけ教えてもらっても、よく分からなかったのを覚えています。
その後、実際に外来診察とか、入院治療がはじまって、共同注視がもともと苦手な子どもたちを見るようになって、こういうことかと理解していきます。
しかし定義はとりあえず大事なので、まずは難しく表現しますと以下のようになります。
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共同注視(Joint Attention)は、二人以上の人が同じ対象や出来事に注意を向け、その対象や出来事についての認識を共有する社会的な相互作用のプロセスを指します。共同注視は、言語能力、社会的認識、感情の共有など、多くの重要な発達領域と関連しています。
共同注視は通常、以下のような形で起こります:
相互注意(Mutual Attention): 二人の個体が互いに注意を向け合っている状態。
追視(Gaze Following): 一方の個体が他方の視線や指差しを追って、その対象に注意を向けること。
指差しや視線の共有(Sharing of Pointing or Gaze): 一方の個体が何かを指差しや視線で示し、他方がそれに応答して共有の注目ポイントを作り出す。
共同注視は特に幼児期において重要であり、子どもが社会的スキルとコミュニケーション能力を発達させる上での基礎を築きます。共同注視は、感情の共有、他者とのつながりの形成、共感の発達など、人間の社会的能力の基本となります。また、言語学習のプロセスにおいても非常に重要な役割を果たし、単語の意味を学ぶ上での文脈を提供することで、言語の習得を促進します。
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簡単にいってしまうとですが、小さい子どもって、指差しをするじゃないですか。
自分の好きなものを指差しながら、「ブーブ」、「わんわん」とか言いつつ、こちらに目を合わせきたりします。
これが共同注視です。
自分の好きなものを、相手に伝えて、共有したい。共有したことを、うれしいと感じる、ことです。
自分が興味のある相手と、気持ちや、感情が共有して、うれしい、と思うことです。
これは大人になった時の、相手の気持ちを予測する力、心を想像する力、空気を読む力、などにつながってきます。
だから、ASDの診断の時には特に重要になります。
ここで共同注視が障害される疾患は何があるのか、あげていきます。
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共同注視が障害されることが知られている疾患には、主に発達障害や神経発達障害が含まれます。以下はその例です:
自閉症スペクトラム障害(ASD)
自閉症スペクトラム障害の子どもたちは、共同注視や社会的相互作用に困難を示すことが一般的です。
彼らは他者の視線を追ったり、指差しを理解したりするのが難しい場合があります。
これはコミュニケーションの遅れや社会的スキルの発達に影響を与える可能性があります。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)
ADHDのある個人は、注意を維持するのが難しく、共同注視を維持するのも難しい場合があります。
これにより、社会的相互作用やコミュニケーションのプロセスに影響が出ることがあります。
視覚障害
目の障害や視覚処理の障害がある場合、共同注視が困難になることがあります。
これは視線を追ったり、指差しのジェスチャーを理解したりする能力に影響を与えます。
その他の発達障害
言語発達障害やその他の神経発達障害でも、共同注視や社会的相互作用に困難が生じることがあります。
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このあたりがメインです。
ですがやはり児童精神科では、ASDの中核障害である、対人相互性の障害が、存在するのか、その程度はどのくらいなのかを、生育歴上でみつけていくときのチェック項目の一つとして使われます。
アイコンタクトみたいなのも、この仲間です。
目くばせ、もそうですね。成人のASDの人たちは、アイコンタクト、目くばせ、をとらえたり、その意味を共有することが苦手なことが多いです。
医療法人永朋会 理事長
加藤 晃司
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