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児童精神科で出てくるマイルストーンについて、名古屋の児童精神科医が解説

児童精神科で出てくるマイルストーンについて、名古屋の児童精神科医が解説


こんにちは、名古屋市千種区、医療法人永朋会 和光医院、児童精神科医の加藤晃司です。

今回は、マイルストーンについて解説します。


児童精神科では、たまにマイルストーン(マイルストンでもいいですが)、という言葉がでてきます。

私の指導者からはたまにしかでてこなかったので、私自身はあまりこのマイルストーンという言葉は使わないのですが、外ではたまに聞きます。

生育歴、みたいな意味でいいと思います。発達上でチェックすべき項目、つまり大事なポイントですね。

マイルストーンの詳細についてまずは書きます。

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児童精神科では、発達のマイルストーン(発達の節目)を通じて子どもの成長と発達を評価します。これらのマイルストーンは、子どもが特定の年齢に達するまでに達成すべき一連の身体的、言語的、認知的、社会的スキルです。これらの指標を用いて、児童精神科の専門家は発達の遅延や障害がないかを監視し、必要に応じて介入を提供します。

発達のマイルストーンの例
1. 身体的・運動的発達:
生後数ヶ月: 頭を持ち上げる、手足を動かす。
6ヶ月: 腹ばいから座る。
12ヶ月: 手を使って物をつかむ、立ち上がる。
18ヶ月: 歩く、走る、階段を手をついて上る。
2歳: 自分で食べる、階段を1段ずつ上る。

2. 言語的発達:
数ヶ月: おしゃぶりや泣き声でコミュニケーションを取る。
12ヶ月: 単語を話し始める。
2歳: 2語文を使い始める。
3歳: 簡単な文を話し、自分の名前を言うことができる。
4歳: 話が理解でき、基本的な会話が可能。

3. 認知的発達:
数ヶ月: 顔を認識し、物の追跡ができる。
12ヶ月: 簡単なジェスチャーを理解し、原因と結果の関係を学び始める。
2歳: 物の名前を覚え、シンプルなパズルを解く。
3歳: 積み木で遊び、色や形を識別する。
5歳: 数を数え、簡単な算数ができる。

4. 社会的・感情的発達:
数ヶ月: 笑顔を見せる、人の声に反応する。
12ヶ月: 人見知りや分離不安を示す。
2歳: 自己主張を始める、他の子供と並行遊びをする。
3歳: 協力的な遊びを始める、順番待ちができる。
5歳: 友達を作る、規則を理解する。
これらのマイルストーンは一般的なガイドラインであり、子どもたちはそれぞれ自分のペースで成長します。遅れがある場合でも、それが必ずしも問題を意味するわけではありませんが、特定の発達障害の可能性を指摘する重要な手がかりとなる場合もあります。

児童精神科医や小児科医は、これらのマイルストーンを定期的な健康診断や保護者からの報告を通じて評価し、発達に関連する問題や障害のスクリーニングを行います。必要であれば、早期介入プログラム、言語療法、作業療法、物理療法、または特殊教育サービスを推奨することがあります。
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どの項目も重要ですが、ASDの対人相互性の障害がどの年齢からあるか、どの程度かを見るのが一番ややこしいかなとは思います。

基本的には養育者、主に母親であることが多いですが、母に質問して答えてもらうので、こちらの質問の仕方が悪かったりすると、うまく引き出せないこともあります。
そういう場合は、なんどか聞き方をかえたり、違う日に確認したりして、しっかり確認していきます。
人見知りがまったくありませんでした、というのは重要なキーワードですが、0なのと、少しはある、のは結構違うので、このあたりとか、しつこく聞きます。

前のブログで書いた、「心の理論」もこの社会的発達の中に入ってきます。

出るべき年齢ででているのか、少し遅れてでているのか、遅れてもでてこないのか、このあたりはしっかりと評価していく必要あります。

そして、例えば人見知りしない、ということが当てはまったとして、それが本人のもともとの素因としてなのか、養育者との関係の中でそのようになったのか、つまり二次的なものなのか、を見極める必要もあります。


まとめ
今回は、児童精神科にたまにでてくる、マイルストーンについて解説しました。
生育歴みたいなものですが、自閉性スペクトラム障害、自閉症、アスペルガー障害、広汎性発達障害、ADHD、などの発達障害の診断をする時に、重要な指針となるものです。
通常発達においても使える考え方なので、知っておいて損はないと思います。

医療法人永朋会 和光医院
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