愛着障害とは何か、名古屋の児童精神科医が解説
愛着障害とは何か、名古屋の児童精神科医が解説
こんにちは、名古屋市千種区、医療法人永朋会 和光医院、児童精神科医の加藤晃司です。
今回は、愛着障害とは何か、について解説します。
愛着障害の疑い、という主訴で来院される方、結構たくさんいるなと思います。
愛着障害という名前が、分かりやすいので、それにひっぱられているというのと、病名自体が浸透した、ということでしょう。
これは個人的な意見なのでコンセンサスではないのですが、愛着障害って診断基準でその枠を区切るようなものではないと思います。
まあ、精神科の診断はそういうものが多いのでしょうがいないですが、愛着障害だから、治療はこうですね、こうしてください、というものでもないと思います。
すべてはスペクトラムというか、連続性の中にはいっているもので、病気の中に答えがないと思います。
養育者(母親)と子どもの間で何らかの問題があったとしても、母親も自分の養育者との間で問題があることがほとんどだからです。
つまり愛着障害だから、養育者が悪いですよね、というようなシンプルな話ではない。
ですが、結構、児童精神科の領域は、養育者のみに原因があるという流れに向かいがちです。養育者が単独でだめですね、というケースもありますが、そんなに多くないです。
ここで愛着障害が何かについて確認しましょう
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愛着障害は、幼少期の重要な時期において適切な愛着形成が阻害された結果として生じる心理的な状態です。これは、子どもが安定したケアギバーとの間に信頼と安心感を築くことができない状況に起因することが多いです。
愛着障害には大きく分けて二つのタイプがあります:
反応性愛着障害(Reactive Attachment Disorder, RAD)
子どもがケアギバーに対して一貫して応答を示さず、社会的相互作用において極端な抑制、不安、あるいは不注意が見られます。
子どもは他者との接触を避け、慰めを求めることもほとんどまたは全くありません。
通常、RADは乳幼児期の深刻なネグレクトや虐待、頻繁なケアギバーの変更、あるいは機関での育成などに起因します。
愛着障害性行動抑制(Disinhibited Social Engagement Disorder, DSED)
子どもが無差別に親しみを示すことが特徴で、知らない大人に対しても過度に友好的であったり、適切な警戒心を持たなかったりします。
これも乳幼児期のケアの不安定さや質の低下に関連しています。
愛着障害の症状は以下のようなものがあります:
社会的なやりとりや関係に対する無関心や抵抗
慰めや安心を求めない、あるいは求める行動が不適切である
不安定な情緒
発達に関する遅れや問題
他人に対する過度の信頼や警戒心の不足
愛着障害の治療には、安定したケア環境の提供、愛着を促進するための治療的介入、子どもとケアギバーの間の関係を強化するための支援などが含まれます。愛着障害を持つ子どもは、特に感情的なサポートや、対人関係スキルを向上させるための支援が必要となります。
愛着障害は、ケアギバーによる恒常的なケアの欠如や不適切なケアが原因であることが多いため、早期に適切な介入を行うことが重要です。適切な治療とサポートが提供されることで、多くの子どもたちは改善を見せ、より健康的な愛着パターンを発達させることが可能になります。
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どうでしょうか。分かるような、分からないようなことが書いてあるな、と思うと思います。
原則として、すべからくすべての子どもは、安定した母親が好きです。少しでも勘のいいこだと、母親が安定するような行動をとるようになります。
誰にでもべたべた寄って行ってしまう、というのは、その方が子育てとしては母が楽だからです。くせになってしまうわけですね。
逆に無反応、反応が薄い、というのは、だいぶ具合悪いか、もともとの気質として空気を読むのが苦手だった、といこともあるわけです。
これも、どちらかが判断できないと、その後のアプローチ変わりますから、一概に反応がにぶいから具合悪いわけではない、ということです。
そして母親も自分の親から同様な扱いを受けていた可能性が高いです。だから、ただ攻めてもしょうがない、むしろ母親からも生育歴を聞いたりする必要あります。
時に、BPDの生育歴に似ているかなと思います。オーバーラップしているわけです。
結構メジャーな疾患ですが、診断がついたから、すっきりするようなものではないものの一つです。
まとめ
今回は愛着障害について解説しました。
愛着というものを確認することは、どの疾患においても重要となります。
それによって精神病態、つまり病気の重さが変わってくることが多いからです。
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