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発達障害に伴う感覚過敏について

発達障害に伴う感覚過敏について


こんにちは、名古屋市千種区、児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。

今回は、発達障害に伴う感覚過敏について解説します。


自閉性スペクトラム障害やADHDの子たちは、少なくない割合でなんらかの感覚過敏を持っていることが多いです。
そしてそれは大人になっても残ってしまう場合があります。

原因に関しても色々と仮説はでていますが、確定しているものはありません。

特定の知覚に関して、かなり感度が高くなっていることが多い印象です。

大人になってから受診される方たちは、それを症状だとはとらえておらず、自分なりの工夫でなんとか乗りきろうとしています。

子どもの場合は、学校という集団生活を送る中では、かなり邪魔になっていると思います。


ここで感覚過敏とは何か、治療法は何が考えられているかを解説します。

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発達障害の感覚過敏(Sensory Sensitivity)は、一般的には神経系が感覚情報を処理する際に異常な過敏さや感受性を示す状態を指します。感覚過敏は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、感覚過敏症状を持つ他の発達障害など、さまざまな発達障害と関連があることがあります。感覚過敏は、特定の感覚に対して過度に反応する傾向があり、日常生活に影響を及ぼすことがあります。

感覚過敏の主な特徴として以下が挙げられます:

音響過敏: 騒音や音楽、他人の声など、音に対して過敏な反応を示すことがあります。耳栓やヘッドフォンを使用して音を遮断しようとすることがあるかもしれません。

視覚過敏: 強い光や特定の視覚刺激に対して過敏で、眩しさや視覚的な刺激に過度に反応することがあります。サングラスの着用などで対処することがあります。

触覚過敏: 特定の触感や質感に対して敏感で、服のタグや縫い目、ラベル、タオルの質感などが不快に感じられることがあります。また、他人との身体接触にも過敏な反応を示すことがあります。

嗅覚過敏: 特定の匂いや香りに対して過敏で、強い香水や化学的な臭い、食べ物の匂いなどが不快に感じられることがあります。また、食事の際に食材の匂いや風味に対して過敏な反応を示すこともあります。

味覚過敏: 特定の食品の味に対して過敏で、苦味や辛味、酸味などが非常に強く感じられることがあります。一部の発達障害の人々は、特定の食材や食品の質感にも過敏です。


次に治療についてです。

発達障害に関連する感覚過敏症状を治療するためには、個々の症状やニーズに合わせたアプローチが必要です。感覚過敏の治療法は以下のように多岐にわたり、症状の程度や発達障害の種類に応じてカスタマイズされます。

感覚統合療法(Sensory Integration Therapy): これは、主に自閉症スペクトラム障害(ASD)などで見られる感覚過敏に対する治療法の一つです。専門的なセラピストが、感覚統合の課題に対処するための活動や訓練を提供します。例えば、重力センサリースイングや圧縮ベストのようなセンサリー用具を使用したり、特定の感覚への適切な刺激を提供することで、感覚統合を助けることができます。

行動療法(Behavioral Therapy): 行動療法は、感覚過敏に伴う問題行動やストレスを管理するのに役立つアプローチです。行動療法の一環として、感覚過敏に対する不適切な反応を減少させるためのトレーニングやストレス管理戦略を学ぶことが含まれます。

薬物療法: 一部の場合、感覚過敏症状を軽減するために薬物療法が検討されることがあります。特に過度な不安や興奮状態が感覚過敏に関連している場合、抗不安薬や抗うつ薬が処方されることがあります。ただし、薬物療法は症状に対する効果とリスクを慎重に検討する必要があります。

環境の調整: 発達障害のある人々の生活環境を調整することも感覚過敏の管理に役立ちます。例えば、静かな環境を提供し、刺激の過多を減らすことができます。また、特定の感覚に対して応じたセンサリーツールや環境改善が行われることがあります。

セルフ・リラクゼーション・テクニック: ストレスや不安に対処するためのリラクゼーションテクニック、深呼吸、瞑想などのセルフ・リラクゼーション法を学ぶことで、感覚過敏によるストレスを軽減するのに役立つことがあります。
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大人になって残っている感覚過敏に関しては、内服をうまく使うことがあります。
もっとも改善率が高いのは、ADHDの不注意症状の連続性の中で発生している感覚の過敏さです。
ADHD内服は、すでに保険適応となっている薬が4剤あり、うまく効けばかなりの症状を取ることができています。
社会人になって基本的には職場で困ることが多くなるので、その時間帯だけ狙って投薬をすることもできるため、使う頻度もコントロールできます。
つまり頓服のように使っても効果がでる、ということです。


まとめ
今回は、発達障害に伴う感覚過敏について解説しました。
感覚過敏は本人からするとずっとそういう感覚なわけで、それが症状だと気が付きにくいです。他人と比較することが基本的にはできないからです。
ですが仕事に支障がでているような状態であれば、一度一通りの検査だけしてみるというのも悪くないと思います。


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