社交不安障害(SAD)は、病態によって治療のやり方はだいぶ変わってくる、について名古屋の児童精神科医が解説
社交不安障害(SAD)は、病態によって治療のやり方はだいぶ変わってくる、について名古屋の児童精神科医が解説
こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。
今回は、社交不安障害(SAD)は、病態によって治療のやり方はだいぶ変わってくる、について解説します。
社交不安障害、人前にでると緊張する、の連続性のなかにある疾患でして、結構相談されることも多いものです。
ここで社会不安障害の概要を確認しておきましょう。
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社交不安障害(Social Anxiety Disorder、SAD)は、社交的な状況や他の人々との相互作用に対して強い不安や恐怖を経験する精神障害の一つです。この症状は、日常生活において社会的な活動や関係に支障をきたすことがあります。社交不安障害は、一般的に以下の特徴を持ちます:
社交的な場面での過度な不安: 社交不安障害を持つ人は、一般的に他の人々との社交的な場面で過度な不安を感じます。例えば、人前で話す、他の人と会話する、会議に参加する、パーティーや社交イベントに参加するなどが含まれます。
他人からの評価への過度な焦点: 社交不安障害の人々は、他の人々からの評価に対して過度な焦点を当て、自分が恥ずかしい状況に置かれるのではないかと不安になります。自己評価や自尊心に負の影響を及ぼすことがあります。
回避行動: 社交不安障害を持つ人は、社交的な場面や状況を回避しようとする傾向があります。これにより、孤立感や社交的な孤独感が増加することがあります。
身体的な症状: 不安や恐怖が高まると、身体的な症状として手汗、声の震え、心拍数の上昇、吐き気、筋肉の緊張などが現れることがあります。
社交的な関係の困難: 社交不安障害を持つ人は、友達を作る、恋愛関係を築く、職場でコミュニケーションを取るなどの社交的な関係に困難を感じることがあります。
社交不安障害は、適切な治療法で管理できることがあり、認知行動療法(CBT)、曝露療法、薬物療法などが一般的な治療法として利用されます。また、心理的な支援やカウンセリングも役立つことがあります。早期の治療を受けることで、社交不安障害の症状を軽減し、日常生活を改善することができる場合があります。
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社会的場面での強い緊張から自律神経症状も認め、苦手な場面を回避する傾向にある。
回避すれば、次からの不安はさらに強くなり、悪循環にはいってしまいます。
といったのが一般的な社交不安障害ですが、時に、症状としては同じですが、対人恐怖が強い方たちがいます。
人からだめな人だと思われているに違いない、のように少し妄想に近くなっています。
こうなってくると、一般的な社交不安障害の治療、例えば内服一つとっても、抗不安薬や、SSRIといわれるような薬では対応できなくなることもあります。
そして通常は暴露反応法のように、認知行動療法的な要素も取り入れながら治療していきますが、病態が重そうな人だとそれをやると逆に悪化してしまうこともあります。
古典的な診断でいうところの、「対人恐怖症」に近い病態は、注意が必要です。
また自閉性スペクトラム障害、アスペルガー障害、広汎性発達障害のような、対人相互性の障害が中核症状にある場合も、通常の社交不安とは治療が異なってくることがあります。
対人でのコミュニケーションでの失敗の、そもそもの根本が他者の心の理解の障害にある場合、失敗体験の連続自体がそもそものスタートとなっているわけです。
社会的場面を避けるようになるという結果も、対人緊張、対人不安を避ける、というよりかは、コミュニケーションがとれていないために、社会的場面を避けているだけ、とういうこともあります。
まとめ
社交不安障害(SAD)は、病態によって治療のやり方はだいぶ変わってくる、についてか解説しました。
SADに限りませんが、病態水準が思い場合、最初に出てきた症状がそれそのものが主病態ではなく、増悪していく最初の部分だけを見ている、という可能性があります。
ですので、どの疾患だとしても、病態がどの程度なのかは、ダブルスタンダードとして常に意識して治療を進めるべきです。
また自閉性スペクトラム障害、アスペルガー障害などの、対人相互性の障害がベースにある場合も、そうでない方とは不安や緊張のとらえ方自体も異なってくる場合もありますし、そもそものコミュニケーション障害をなんとかしなければ治療が進まないので、このあたりも注意が必要です。
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