暴露反応妨害法について、名古屋の児童精神科医が解説
暴露反応妨害法について、名古屋の児童精神科医が解説
こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。
暴露反応妨害法という治療について聞いたことありますでしょうか。
認知行動療法の一つでして、主に強迫性障害の治療に対して行われています。
ですが、それほど難しく考えるものではなく、どのような症状に対しても応用可能です。
それに聞けば、まあそうだよな、と思うはずです。
認知行動療法は海外で作られているものが多いです。論理的な思考を得意とする国では、このようなやり方はフィットしやすいだろうと思います。
逆に日本のように、論理的というよりは、叙述的な言語体系、思考体系を持つ国では、はまりにくいだろうと思います。
実際に私も認知行動療法は、トレーニングも受けましたし、臨床試験でそれを使ったりもしていましたが、実際の臨床では応用程度に使うくらいです。
治療する側にも、される側にも、向き不向きがある、と思います。
暴露反応妨害法の概要ですが、
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曝露反応妨害法のプロセス
曝露(Exposure):
患者は、不安や恐怖を引き起こす状況や思考に意図的に曝露されます。これは、実際の物体や状況に直面する「実地曝露」、または想像や思考を通じて行われる「想像曝露」が含まれます。
反応妨害(Response Prevention):
曝露された状況において、患者は通常行う強迫行為や回避行動を行わないように訓練されます。例えば、清掃や確認といった強迫行為を抑制することです。
不安の低下:
繰り返しの曝露を通じて、患者は徐々に恐怖や不安の感覚が減少することを学びます。これにより、強迫行為を行う必要性が低下します。
治療の有効性
ERPは特に強迫性障害の治療において高い効果があり、数多くの研究でその有効性が確認されています。
治療効果は長期にわたることが多く、多くの患者において症状の軽減や生活の質の改善が見られます。
治療の実施
ERPは心理療法の専門家、特にOCDの治療経験が豊富な臨床心理士や精神科医によって行われます。
治療開始前には、患者の症状や懸念事項を詳細に評価し、個々の患者に合わせた治療計画を立てます。
注意点
ERPは感情的に困難でストレスを伴う治療法であるため、適切なサポートと専門家の指導が必要です。
すべての患者にERPが適しているわけではないため、他の治療法との組み合わせや代替手段も検討されることがあります。
曝露反応妨害法は、強迫行為や回避行動を抑制することで、患者が恐怖や不安に対処する方法を学ぶことを目指しています。これにより、長期的な症状の改善と自己管理能力の向上が期待されます。
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といった感じです。
不安に対して暴露して、回避行動を我慢する、というプロセスをへるため、状態が悪い人には向いていません。
またテキストに不安強度を記載したりすること自体がめんどくさい、という人もいるでしょう。
理屈が分かっていれば、細かくやる必要はありません。
とにかく、どのような不安も、それを回避したら二度目の不安は初回よりも強くなる、ということです。
当たり前といえば当たり前です。
不安を持ったままキープすることができれば、心の筋トレが可能だ、ということです。
暴露すればするほど、その後の超回復が期待できる、筋肉と同じです。
難しく考えなければ、こういうものも治療にうまく取り入れていけばいいと思います。
まとめ
今回は、暴露反応妨害法について解説しました。
言葉は難しいですが、原理はそれほど難しいことではありません。
そして、子どもでも実践可能です。
自閉性スペクトラム障害、ADHD、アスペルガー障害、など発達障害がベースにある子でももちろん可能です。
自分の心というものを、自分自身である程度コントロールできるようになれば、それは大人になってもあらゆる場面で役に立つはずです。
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