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TMS治療の発達障害(自閉性スペクトラム障害、ADHD)への有効性、臨床試験結果、脳細胞の変化、について名古屋の児童精神科医が解説

TMS治療の発達障害(自閉性スペクトラム障害、ADHD)への有効性、臨床試験結果、脳細胞の変化、について名古屋の児童精神科医が解説

こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。

今回は、TMS治療の発達霜害(自閉性スペクトラム障害、ADHD)への有効性、臨床試験結果、脳細胞の変化、について解説します。

①TMS治療の発達霜害(自閉性スペクトラム障害、ADHD)への有効性、臨床試験結果

経頭蓋磁気刺激(Transcranial Magnetic Stimulation、TMS)は、発達障害(特に自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠如・多動性障害(ADHD))の治療に対する有効性が近年注目されています。以下に、その根拠や臨床試験結果について説明します。

(1)TMS治療の基礎
TMSは、頭皮にコイルを置いて磁場を発生させ、脳の特定の部位に電流を誘導し、その部位の神経活動を調節する治療法です。これにより、脳内の異常な神経活動を正常化し、症状の改善を図ります。

(2)自閉症スペクトラム障害(ASD)に対するTMS治療の有効性

*根拠
ASDの患者では、特定の脳部位における神経活動の異常が報告されています。特に、社会的認知やコミュニケーションに関与する脳領域における異常が見られます。TMSは、これらの異常な神経活動を調節することで、症状の改善が期待されています。

*臨床試験結果
Bentwich et al. (2011):

研究内容: ASD患者20名に対して、前頭前野にTMSを適用。
結果: 社会的行動とコミュニケーションの改善が観察されました。

Oberman et al. (2016):

研究内容: 高機能ASD患者16名に対して、1HzのTMSを10日間適用。
結果: 不安や反復行動の軽減が報告されました。


(3)注意欠如・多動性障害(ADHD)に対するTMS治療の有効性

根拠
ADHDの患者では、前頭前野の神経活動の低下が報告されています。TMSは、この部位の神経活動を増加させることで、注意力や集中力の改善が期待されています。

臨床試験結果
Bloch et al. (2010):

研究内容: ADHD患者18名に対して、右前頭前野にTMSを適用。
結果: 注意力と衝動性の改善が観察されました。

Weaver et al. (2012):

研究内容: 成人ADHD患者30名に対して、TMSを適用。
結果: 注意力と認知機能の改善が報告されました。


②TMS治療により脳細胞にどんな変化が起こるか?

TMSによる脳細胞への変化

(1)神経可塑性の促進:

TMSは、脳の神経可塑性(neuroplasticity)を促進する効果があります。これは、新しい神経回路の形成や既存の回路の強化を助け、学習や記憶の改善を促します。

(2)シナプスの強化:

シナプス可塑性(synaptic plasticity)が向上し、シナプス結合の強度が増すことで、情報伝達が効率化されます。これにより、認知機能や記憶力が向上します。

(3)神経伝達物質の調整:

TMSは、脳内の神経伝達物質(例:ドーパミン、セロトニン、グルタミン酸など)の放出を調整し、精神状態や気分の安定化を助けます。特に、うつ病や不安障害の治療において重要な役割を果たします。

(4)脳波パターンの正常化:

異常な脳波パターンを正常化する効果があります。これにより、注意力や集中力の向上が期待できます。ADHDなどの症状改善に寄与することが報告されています。

(5)神経新生の促進:

TMSは、神経新生(neurogenesis)を促進することが示されています。これは、新しい神経細胞の生成を助け、脳の修復や再生を促進します。

(6)局所的な血流増加:

TMSは、刺激された脳領域の血流を増加させ、酸素や栄養の供給を改善します。これにより、脳の健康と機能が向上します。


まとめ
今回は、TMS治療の発達霜害(自閉性スペクトラム障害、ADHD)への有効性、臨床試験結果、脳細胞の変化、について解説しました。

TMS治療による脳細胞変化を考えると、どの疾患に対してもある程度の効果を発揮する可能性があると思います。

精神科内服以外の選択肢として成立していると思います。

医療法人永朋会 和光医院
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