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チック症状の薬物治療 インチュニブはチックにも効果がある。

チック症状の薬物治療 インチュニブはチックにも効果がある。


 先日、東京で行われたインチュニブ勉強会に出席しました。



 インチュニブはしばしば処方するADHD薬ですが、チックにも有効であることをご存じではない方がいらっしゃると思います。













チック症とは、



  無意識に特定の動作や音を繰り返し行う症状を特徴とする神経学的な障害です。





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1. チック症状は主に音声チックと運動性チックに分かれます。

(また、それぞれ複雑性、単純性に分かれます。)
- 音声チック:意識なく汚言や奇声を発する現象です。例えば、咳払い、のど・鼻を鳴らす、他者の発現を繰り返すなどあります。
- 運動チック:体の一部を無意識に動かす症状で、典型的には、まばたき、頭を振る、肩をすくめる、顔をしかめるなどがあります。



2. 原因:生来の ドーパミン系などの神経伝達の不均衡を認めるケースがしばしばあり、そのうえで、ストレスや不安の強い状況が重なるとチック症状が悪化することがあります。
 また、TVやゲーム、動画など脳への負荷が強いデバイスを使用中もチックが悪化することがあります。





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 治療としては、ストレスに関連してチック症状が悪化する際は、家庭環境や学校生活などのストレスを減らす環境を作ることがまず優先されます。睡眠不足、ゲームや動画などを減らすことで改善することもあります。





 しかし、症状が環境調整だけでは治まらないときや重篤な時は薬物療法を行います。









薬物療法について






 まずは、チックに対してエビデンスがある薬剤について、



・抗精神病薬:リスペリドン(リスパダール)、アリピプラゾール(エビリファイ)、ハロペリドール(セレネース)



・その他、クロニジン(カタプレス:日本では高血圧治療薬として承認)

     グアンファシン(インチュニブ:日本ではADHD薬として承認)







があります。







 自身の治療についてですが、



 まず念頭に入れることは、チック症状を認める方には他の精神疾患の併発が多いことです。



注意欠如多動症(ADHD)、強迫性障害、学習障害、衝動性・攻撃性の障害、など





 これらの併発する症状に応じて薬物選択することになります。







 基本的に、エビリファイを優先することが多いですが、



 感覚過敏・こだわりが強く、気持ちの切り替えが難しくかんしゃくが起こりやすい患者さんには、併発症状も含めて奏功することが多い印象です。





 また、ADHDが併発し、チック症状と同様に衝動性・多動性のお困りが強い方でしたら、インチュニブを優先して処方します。







チック症状のお困りがあれば、ぜひご相談ください。






名駅さこうメンタルクリニック

丹羽亮平

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