自分が自分じゃないような感覚がするのはなぜか、名古屋の児童精神科医が解説
自分が自分じゃないような感覚がするのはなぜか、名古屋の児童精神科医が解説
こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。
今回は、自分が自分じゃないような感覚がするのはなぜか、について解説します。
皆さんはふとした時に、自分が自分じゃないとい感覚、ここに存在しているけど実感がわかない、自分で自分の手を見た時自分の手じゃないような感覚におそわれる、自分が自分であるという感覚と自分の肉体がフィットしていない、など、表現は色々とあると思いますが、ずれが存在しているといった感じだと思います。
これを離人感と表現します。
離人感とは、
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離人感(Depersonalization)は、自己の現実感が失われる心理的な状態の一つであり、自分自身が自分の体や精神から切り離されているかのように感じる体験を指します。この状態では、個人は自分が自分自身や周囲の環境と乖離していると感じ、自分の思考、感情、体の感覚、または行動が自分のものではないかのように感じられます。離人感はしばしば、現実からの距離感や、自分自身がロボットのように、または自動的に動いているかのように感じることを伴います。
離人感は、ストレス、不安障害、うつ病、外傷後ストレス障害(PTSD)、薬物の使用、または極度の疲労など、さまざまな要因によって引き起こされることがあります。また、離人症候群(Depersonalization Disorder)として知られるより持続的または反復的な形態では、この感覚が継続的に存在し、個人の日常生活や機能に著しい影響を及ぼす可能性があります。
離人感の治療は原因によって異なりますが、認知行動療法(CBT)や薬物療法などの心理療法が有効であると考えられています。また、ストレス管理技術の習得や、健康的な生活習慣を促進することも、症状の軽減に役立つことがあります。離人感を経験している場合は、専門の医療提供者に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
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解離症状に近い現象でいいかと思います。
一時的なストレス、疲れででることもあれば、うつ病や、強迫性障害、不安障害、などの主病態にともなって生じることもあれば、子供の時から現在にいたるまで長年の生育歴上での不具合が離人感という形で外側にでてくる、ということもあります。
とにかく、離人感がある、というのはいい状態ではないということです。
しかし逆に考えれば、離人感という分かりにくい症状で何かが表にでてきたと考えると、そのひっかかりが何かを見つけるチャンスでもある、ということです。
心の奥底に無意識に押し込んでいたものが、そのままでは自分のバランスを取り続けることが難しい、と脳と体が判断して、症状として外にでてきたわけですから、悲観的になってはいけません。
原因は必ずあるわけです。
離人感のような症状で外側にでてくる方は、だいたい我慢強く、他者配慮的で、いわゆるいい人が多いです。
しかし自己犠牲が過ぎればそれは自分に跳ね返ってきますし、0か100にしまうのは相手にとってもいいことではありません。
0と100の間に、その都度状況に合わせて落としどころを見つけていく、という生き方に少しずつ変えていかなければいけないというサインでしょう。
このあたりのことはどこまでか分かりませんが、埋めなくてはいけない過去の時点までさかのぼる必要がありますから、最悪0歳ということになることもあります。
時間がかかりますが、それを探っていく過程といのは、そんなに悪いものでもありません。
自己分析をするということは、結果的に他者分析の能力も上がります。
かけた時間の分だけ、あなたにとって意味のあるものになるはずです。
思い当たる方、ちょっとなんとかしないといけないかなと思ったら、そう思ったチャンスを逃さずクリニックへご相談ください。
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