アットドクター

児童精神科医・精神科医・臨床心理士・管理栄養士が
心の悩みに答えるQ&Aサイト

  • 医師・臨床心理士・管理栄養士一覧
  • お問い合わせ
  • よくあるご質問

TMS治療は脳細胞のアンチエイジング効果があるか?その根拠となる論文について、名古屋の児童精神科医が解説

TMS治療は脳細胞のアンチエイジング効果があるか?その根拠となる論文について、名古屋の児童精神科医が解説

こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。

今回は、TMS治療は脳細胞のアンチエイジング効果があるか?その根拠となる論文について解説します。

TMS治療を医療法人で運営している児童精神科クリニックと美容クリニックを連動させるようになってしばらくがたちます。

今のところ、うまくいっていると思います。

美容医療は日本で最新の再生医療の情報、実際の治療が入ってくる領域です。
美容に参入したおかげで、再生医療を精神科領域に導入することもできました。

細胞の再活性化、若返りは、肌細胞だけでなく、脳細胞を含め、体中すべての細胞に効果があります。

TMS治療は脳細胞へターゲットを絞っていますが、治療としては再生医療に近いなと感じています。

TMS(経頭蓋磁気刺激)治療が脳細胞に対してアンチエイジング効果を持つかどうかについて、以下の観点から説明します。

TMSは、非侵襲的な方法で脳の特定の部分に磁気パルスを適用し、神経活動を調節する治療法です。うつ病やその他の精神疾患の治療に用いられることが多いですが、最近の研究では脳細胞のアンチエイジング効果についても注目されています。

(1)メカニズム
①ニューロンの可塑性の向上:

TMSはシナプス可塑性を促進し、神経回路の再編を助けると考えられています。これにより、学習や記憶機能が改善される可能性があります。


②血流と代謝の改善:

TMSは脳血流量を増加させ、酸素と栄養の供給を改善します。これにより、脳細胞の健康が維持され、老化プロセスが遅れる可能性があります。


③神経成長因子の増加:

TMSは脳内での神経成長因子(例えば、BDNF: 脳由来神経栄養因子)のレベルを上昇させることが報告されています。BDNFはニューロンの生存、成長、および維持に重要な役割を果たします。


(2)根拠となる論文
Gersner et al. (2011):

この研究では、TMSがBDNFの発現を増加させることが示されています。BDNFの増加はニューロンの可塑性とサバイバルに寄与し、脳の健康維持に役立つとされています。


Lenz et al. (2016):

TMSが脳血流を増加させることが報告されています。この研究では、TMSが脳内の血流と代謝を改善し、認知機能の向上に寄与することが示されています。


Bakker et al. (2015):

高齢者において、TMSが記憶機能を改善し、認知機能の低下を遅らせる可能性が示されています。この研究は、TMSがアルツハイマー病の予防や治療に役立つ可能性があることを示唆しています。


まとめ
TMS治療は、脳細胞のアンチエイジング効果を持つ可能性があることを示す研究がいくつかあります。これらの研究は、TMSがニューロンの可塑性、血流と代謝、神経成長因子の増加を通じて脳の健康を維持し、老化プロセスを遅らせる可能性を示唆しています。今後の研究でさらに明らかになることが期待されます。

個人的意見としては、精神症状や認知機能改善にTMS治療を行う時、同時にエクソソーム点滴、NMN点滴をやっている方の方が相乗効果がでていると思います。

ぜひ脳機能のアンチエイジングをあらゆる角度から行っていきましょう。

医療法人永朋会 和光医院
医療法人永朋会はこちら