ADHDは境界性パーソナリティ障害に併存している可能性ある、名古屋の児童精神科医が解説
ADHDは境界性パーソナリティ障害に併存している可能性ある、名古屋の児童精神科医が解説
こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。
今回は、ADHDは境界性パーソナリティ障害に併存している可能性あるについて解説します。
境界性パーソナリティ障害は、正直自傷行為があると診断されやすくなっている疾患だと思います。
しかしその診断基準はしっかりしており、自傷行為があるだけでは診断を満たしません。
基本的には生来の器質的原因となる、易刺激性と、生育歴での特徴、不認証環境、この二つがそろうことでBPDになります。
この易刺激性は、気分変調、衝動性、イライラ、などが含まれますが、これがADHD症状の一部としてでている場合があります。
ADHDと診断するためには不注意が主症状ですから、これを生育歴上で確認する必要はあります。
もしくはWAISなど心理検査を使って、補助的に不注意を見つけることも可能です。
もしADHD症状が合併しているなら、ADHD治療薬でかなりの部分が改善する可能性あります。
気分易変性、衝動性がもし改善するならば、自傷行為や、気分変調や衝動性にともなう対人的なトラブルも大きく減らすことができます。
これはBPD治療にとっては非常に意味があります。
対人的なトラブルは、衝動が原因となることが多く、失敗体験が減ることは、自己評価を下げないようにするためには非常に重要です。
またBPDの中核症状である、スプリット、0か100の思考、をカウンセリングで治療していく場合、長い時間がかかることが多いですが、その場合も気分変調、衝動性が改善されているならば、心理療法の進展もおそらく早くなるでしょう。
BPDと診断されていると、ADHDのような発達障害を見逃すケースは多いと思います。
前医で診断されていると、そちらに診断がひっぱられ、再度発達障害を0から鑑別しようとはなりにくいからです。
しかしBPDとADHDの合併は少なからず存在しているため、このような視点で診断を再考する意味はかなりあると思います。
医療法人永朋会 和光医院
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