ペアレントトレーニング、それをやる意味は疾患理解だけでない、名古屋の児童精神科医が解説
ペアレントトレーニング、それをやる意味は疾患理解だけでない、名古屋の児童精神科医が解説
こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。
児童精神科をやっていると、ペアレントトレーニングをやることは結構あります。
子どもの疾患理解がメインだと思われていますが、養育者がトレーニングを受けることはそれ以外の意味もあります。
基本的に、養育者と子どもの関係(主に母子関係としましょう)、は世代間伝達します。
つまり、自分と子どもとの関係は、自分と自分の母親との関係と連続性があり、そのまた上の世代にも連続していっているのです。
なので、たまたま自分の子どもの時代に問題がでてきて、精神科にかかったが、場合によってはその問題点は世代間伝達しているものである可能性があります。
そうなると、子どもと自分の関係だけでなく、自分と自分の親の関係までひも解いていかないと、根本的には解決していきません。
また発達障害の場合、たとえばASDだとしましょう。
男性優位の遺伝ですので、子どもがASDの場合、父親がASDである可能性が高くなります。
クリニック受診時に一緒にくるのは母親であることが多いので、その場に父親はいません。
ASDの夫、ASDの子ども、多くは母親が翻訳者になるしかありません。
自分がASDを理解することで、子どもだけでなく、夫の理解にもつながっていきます。
そうなると家族を1単位とした場合、その家族内での力動(心の動き)は母が間に入ることで、だいぶ安定します。
それらのことを全部ふくめてペアレントトレーニングだと思っていたほうがいいと思います。
疾患理解は必要ですが、精神疾患はその人単独で発生していることの方が少ないからです。
世代間での連続性、そして家族内での力動、多くの要素で構成されています。
それをひも解いていくことで、自分自分にもまた新しい気づきがでるはずです。
子どもの治療とは本人だけがやるだけではないこともありますので、そのあたりは重要なことかなと思います。
医療法人永朋会 和光医院
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