注意欠如多動症の治療をどうするか?①コンサータについて
注意欠如多動症の治療をどうするか?①コンサータについて
複数の患者さんから、
注意欠如多動症の内服薬の選択はどうしたらよいのか?
と質問を受けました。
改めて、注意欠如多動症の治療薬について説明させていただきます。
注意欠如多動症(ADHD)の治療について、
まずは、薬物療法以外の方法でどこまで症状の改善が可能か検討します。
例えば、
心理カウンセリングにて患者さん本人の心理的サポートや、ペアレントトレーニングにて家族の支援を行うこと。
環境調整(仕事や学校などの環境をより適応的に変えること、など。)
規則正しい生活(デジタル習慣を見直し、夜間の睡眠を改善することで、日中の眠気が軽減したり、不登校の改善に繋がります。)
しかし、これだけでは症状が改善せず、日常生活や仕事・学業にお困りが強い時には、薬物療法を検討します。
ADHDを生まれつきの特性と捉え、治療改善が難しいと思われている方が多いですが、薬物療法による治療効果は高く、継続的な改善の期待できる疾患です。
まず、ADHD症状に対して薬物療法を行う際、以下の3剤が考慮されます。
薬ごとに異なる効果や副作用を伴うため、年齢や症状を見ながら検討します。
しかし、児童患者さんのうち、
この3剤を使用しても十分な効果の得られない方
or/and
副作用など何かしらの理由で上記薬を使えない方
は、ビバンセを考慮します。
コンサータ「メチルフェニデート」について
〇基本的な特徴
・「中枢神経刺激薬」です。
脳内の神経間のドーパミンの再取り込みを阻害することにより、ドーパミンが受容体に結びつきやすくなることで、ADHDの症状を改善させます。
〇良い点について
・日中の不注意、多動・衝動性にシャープな効果があります。
日中の学校生活や仕事のトラブルなど、これまで他の治療(環境調整や他の薬物療法)を尽くしても改善が難しかった症状に対して、著効する可能性があります。
効果はおよそ12時間。(診療における実感としては10〜12時間)
➡おもに日中の症状への効果です。
・集中力が増す。(授業をじっくり聴けるようになる。宿題や書類作業などに集中することができ、より早く正確に行えるようになる)
・粘り付けさが増す。いやなことに向き合いやすい(→宿題をやるようになる。不登校の改善にも効果がある。など)。
・日中の眠気を飛ばす。
・テキパキ動きやすくなる。
・作業の組み立てがうまくなる。マルチタスクが行いやすい。
(仕事、家事、育児が行いやすい。話を聞きながら黒板を写せるようになる。時間を意識して行動できる。など)
・イライラが減る。
・気分の変調が減る。
〇コンサータの悪い点について
・副作用のリスクがある。
まず、以下の人は基本的に処方できません。
・過度の不安、緊張、興奮性のある人
・閉塞隅角緑内障の人
・甲状腺機能亢進のある人
・不整頻拍、狭心症のある人
・過去にコンサータ錠に含まれる成分で過敏症のあった人
・運動性チックのある人
・重いうつ病のある人
・褐色細胞腫のある人
・モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤を飲んでいる、または飲むのをやめてから 14 日以内の人
副作用について~
・頻度は多くはないですが重篤な副作用(不整脈、脳血管障害)のリスクがある。
・重篤ではないけれど、しばしば起こる副作用は、吐き気、頭痛、めまい、食欲不振。
(これらの副作用は飲み初めによく出現し、時間とともに軽減することが多い。)
・精神依存性の指摘があること。
・ネガティブなイメージがあること
同様の成分を含んでいた「リタリン」が過去に乱用が問題となったこともあり、コンサータも一般的にあまり良いイメージがないのではないでしょうか?
現在は、違法な乱用を防ぐために流通規制委員会が設置されており、登録された医師のみがコンサータを処方可能であり、患者さんもコンサータを処方する際は登録する必要があります。
名駅さこうメンタルクリニック
院長 丹羽亮平
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