気分の易変性、境界性パーソナリティ障害(BPD)のスペクトラムで説明ができるケースは多い、名古屋の児童精神科医が解説
気分の易変性、境界性パーソナリティ障害(BPD)のスペクトラムで説明ができるケースは多い、名古屋の児童精神科医が解説
こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。
今回は、気分の易変性、境界性パーソナリティ障害のスペクトラムで説明ができるケースは多いについて解説します。
気分のむら、上がったり、下がったりする、ということで相談にくるケースは結構多いです。
躁うつ病を想定して相談に来る方が多いですが、躁うつ病であるケースはほとんどなく、おおくはBPDの連続性の中で説明ができます。
BPDの診断基準は厳密であり、すべてに当てはまる人は最近ではあまりいません。
それくらいBPDの診断基準はしっかりと書かれています。
もともとの気分易変性に加え、不認証環境が加わってBPDは成立します。
不認証環境はかなりきつい生育環境になるのですが、これは程度の問題で、軽いとBPDの診断基準を満たすほどにはならないが、その連続性の中に病態があるケースがほとんどです。
そうなると、治療としてはBPDに準じて行うのが正解だと思っています。
ここで問題なのが、BPDほどではないけど、BPDの連続性の中にあるくらいの方に、内服はあまり効果がありません。
BPDの気分易変性に対しては気分安定薬が効果を発揮することがありますが、BPDスペクトラム程度ではあまり効果はなく、副作用が目立つことが多いです。
これはBPDに限らず、どの精神疾患でも同じような現象がおこっています。
うつ病の診断基準は満たさないけど、うつ症状はある程度では抗うつ薬はあまり効果なく、副作用が目立ちます。
となるとカウンセリングをやるとなりますが、気分易変性は生活に割と邪魔になっているので、カウンセリングでこれは変わらないので結構大変です。
もしADHD症状があるならば、割とADHD内服はこの状態でも効果を出すことがあります。それは薬理作用的に、軽度でも効果がでやすく、副作用もでにくいからでしょう。
低用量ピルが多少効果を発揮することもあります。メディカルダイエットが結果的に気分のむらを改善した方もいました。
血糖値の安定や、ダイエット薬そのものがなんらなかの影響を与えた可能性もあると考えています。
軽うつの時は、TMS治療ももしかしたらある程度効果を発揮するかもしれません。
このように気分易変性は頻度が高いですが、通常の精神科医療では改善しないケースが多いです。
再生医療やその他治療含め、一人ひとりにあった治療を模索していく必要があります。
精神科だからといって、すべてが心理的なことで解決できるわけでもない一つのケースとして紹介しました。
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