ロールモデルの不在はどの疾患であったとしてもある程度影響を与えている、名古屋の児童精神科医が解説
ロールモデルの不在はどの疾患であったとしてもある程度影響を与えている、名古屋の児童精神科医が解説
こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。
今回は、ロールモデルの不在はどの疾患であったとしてもある程度影響を与えているについて解説します。
児童精神科外来をやっていると、ほんとにたくさんの子供たちに会います。
もちろんいろいろな病気の子もいるのですが、疾患とは関係なく感じるのは、ロールモデルがないなということです。
精神科領域における「ロールモデル」とは?
ロールモデル(Role Model)とは、精神科医療や心理療法において、患者が学習や成長のために模範とする人物や行動パターンを指します。特定の役割や行動、価値観を示し、患者がそれを観察・模倣することで、心理的な改善や行動の変化を目指すアプローチにおいて用いられる概念です。
生きるとはこういうことである、正しいとは、こうするべき、一つの価値観の軸となるものですね。
そういうものがあると、その軸との比較ができますから、自分の立ち位置、自分とは、というアイデンティティーの確立にも役に立ちますし、自我機能も安定してきます。
ロールモデルがあいまい、ない、という子どもが増えてきています。
親や、親戚、近所の人、先生たち、との関係も希薄になってきているのか、理由はよくわかりませんが、軸となるロールモデルがない子供が多いです。
2者関係を深めていったり、自分とは何なんのかを深堀していくのに、軸はあった方がいい。
価値基準があった方が、ふわふわしにくくなります。
ロールモデルがない場合、主治医や、カウンセラーがその代わりをすることもあります。
その後も見つからなければ、そのままロールモデルの一つとしてその子のなかに存在し続けることもあるでしょう。
つまり最近の児童精神科医療では、治療だけでなく、ロールモデルになる役割もあります。
そういうことまではしたくないから、とか言っている医師や心理士は、児童精神科やらないほうがいいでしょうね。
明確に治療はここまでだからと区切ることは、そもそもこの領域ではむつかしい。
自分という存在すべてを使って、治療に役立つならなんでもあり、という覚悟が必要です。
自分の後輩たちにもそのようなトレーニングをしてきたつもりです。
時代とともに児童精神科医の役割も変わっていきます。
逆にいえば、なんらかの病気をなおすだけが児童精神科でもないとも思います。
お困りのことがあれば、当院へご相談ください。
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