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臨床情報「ADHD評価スケール:ADHD Rating Scale-IV日本語版(ADHD RS-IV)」

今回はADHD評価スケール、ADHD Rating Scale-IV日本語版(ADHD RS-IV)のご紹介です。

ADHD RS-IVはADHDのスクリーニング、診断、治療などの評価に使用可能なスケールです。
児童を対象としていますが、成人にも使うことは可能です。

ADHD RS-IVはDSMの診断基準に基づき構成されています。

ADHD RS-IVはADHDの特徴である多動,注意散漫,衝動性を評価する自記式質問紙です。不注意9項目,多動・衝動性9項目の計18項目で構成されており,各項目は4段階(0:ほとんどない,1:ある,2:しばしばある,3:非常にしばしばある)で評定されます。ADHD RS-IV日本語版は本邦において妥当性と信頼性の検討が行われている。

実際の臨床では、診断のための補助検査として、またADHDの診断がつき治療開始した後の治療効果を評価するためにADHD RS-IVを使用することが多いです。前回ご紹介したASRSは自己評価スケールですが、ADHD RS-IVは他者評価スケールですので、ご家族、学校の先生、職場の方、などに評価スケールを記載していただきます。ADHDのDSMでの診断基準の中に、「C:不注意、多動性/衝動性の症状のいくつかは2つ以上の環境(家庭・学校・職場・社交場面など)で存在している」と入っていますので、自覚症状だけでなく、ADHD RS-IVなどの他者評価スケールを使い、複数の環境での状態を評価することは診断にとっても重要です。

私もこれまでの臨床研究で使用してきました。
<参考文献>
加藤晃司,ほか:広汎性発達障害患者に合併する注意欠如多動性障害の症状に対するatomoxetineの有効性と安全性の検討: 19名を対象とした後方視的研究. 精神科, 2012; 20: 228-234.

もちろん評価スケールのみでの診断はできません。確定診断には専門機関への受診が必要となります。カットオフ値は目的によって異なってきます。

ADHD RS-IV

記事作成:加藤晃司(医療法人永朋会)