臨床情報「場面緘黙について」
<場面緘黙について>
場面緘黙というと、学校(家以外)で、一言もしゃべらない状態と思われる方がいらっしゃいますが、
症状は、人・場所・状況により、発話や行動・コミュニケーションの方法が異なります。
たとえば、以下のケースがあります。
・音読や決まっているフレーズ(おはよう、など。)のみ話せる
・担任や数人の仲の良い子には小声で話せる
・筒、糸電話など用いて、周りに声が漏れなければ話せる
お困りの症状は人それぞれであり、少しでも話せる場面緘黙の子は、重度の方以上に誤解をされやすいように思います。
・少し話せるので、場面緘黙ではない。(医療的支援はいらない)
・おとなしい性格。成長とともに話せるようになるだろうから、放っておいても大丈夫。
・親の育て方の影響ではないか。
・本人の意欲の問題ではないか。
親の育て方が原因で発症することはありませんが、症状の改善には適切な対応が望ましいです。
質問紙を保護者の方が記載し、医療者とともに症状を把握しやすくすることを勧めております。
場面緘黙の併存症として、吃音など言葉やコミュニケーションの問題を50%の児童に認めたという報告があります。
当院では、心理療法、(必要により)薬物療法と共に、言語療法の提案を行っております。
名駅さこうメンタルクリニック
院長 丹羽亮平