臨床情報「うつ病に対して抗うつ薬をいくつか内服されてもよくならない患者さんについて」
うつ病に対して抗うつ薬をいくつか内服されてもよくならない患者さんについて〜
強い抑うつ気分、不安、不眠を認め、「うつ病」と診断された。
これまで、レクサプロ、イフェクサー、ジェイゾロフト、サインバルタ、パキシル…など、単剤で十分な内服期間を試したが効果をみとめない。
エビリファイ、リチウムなどを併用した強化療法も施行したが、改善は認めなかった。
このような薬物療法に奏功しなかった患者さんが転院されてくることがしばしばあります。
その際、まずは再診断!
身体疾患(甲状腺疾患など)、双極性障害などの鑑別を意識します。
また、実は多いのが、抑うつ気分の背景に存在する、自閉スペクトラム症、ADHD、など発達の凸凹。
ADHDであれば薬物療法にて、易変性(気分のアップダウンの大きさ。)やイライラが楽になる可能性がありますし、
うつ病の原因になった不注意や衝動性の出来事(たとえば、職場でミスを繰り返し叱責された、など。)の改善が期待できます。
対人関係に悩む方であれば、心理療法により、思考や行動のクセやコミュニケーションの練習をすることで、徐々に良い方向へ向かうかたは少なくありません。
また、薬物抵抗性うつ病について、TMSの治療も考慮します。
薬物の奏功性と関連なく効果を認めるため、これまで薬物抵抗性の患者さんで改善された方は多いと実感しております。
うつ病の背景に発達の凸凹を認める方にも効果を期待されます。
当院HPからTMSの説明です。
https://meiekisakomentalclinic.com/treatment/tms/
当院HPから自閉スペクトラム症、ADHDの説明です。
https://meiekisakomentalclinic.com/medical-content-2/developmental-disability/#JIHEI
名駅さこうメンタルクリニック院長
丹羽亮平