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臨床情報「感覚過敏について」

前回やこれまでのブログで度々ピックアップしている『感覚過敏』についてです。









自閉スペクトラム症(広汎性発達障害)を理解する上で、

『感覚』の特異性が結果的に『こだわり』行動につながっている、ということは中核的な点だと思っています。



神経発達の凸凹のため、統合された感覚に調節障害(過敏・鈍麻が入り混じる)が生じます。

その感覚をベースに感情がおこり行動に移されるため、いわゆる『こだわり行動』につながると考えられます。また、社会的言動にも影響を及ぼし得ると言えます。









○感覚には触覚、聴覚、視覚、味覚、自律神経などがありますが、脳内の統合の特異性により感覚過敏や鈍麻が起こると考えられます。







○過敏(or鈍麻)を伴う感覚が、行動や社会性に影響を及ぼします。



 ダイヤオレンジ「快」であること、嫌なことの回避につながること、自分自身が納得するジャストフィット感がある → 行動の反復・ルール化。



 例:知覚過敏があり服のチクチクが苦手 → 決まった服を繰り返し着る。家では短パン。

   聴覚過敏にて音刺激が強い → いつもイヤホンで好きな音楽を聞く。



 ダイヤオレンジ「不快」であること → 極端な行動の回避



 例:極端な偏食

   人混みの苦手さ(音、匂い、空気感)→ 人混みの回避

  (不登校など特定の場所に行けないこと、無理に行くと自律神経失調症状が生じることも関係すると考えています。)



 ダイヤオレンジ刺激が脳内処理を超える強度なものであれば、思考や行動の停止・パニックにつながる。





自閉スペクトラム症の患者さんは扁桃体の亢進(交感神経系の過活動)の指摘があります。

この点が治療上のアプローチになると考えております。


名駅さこうメンタルクリニック
院長  丹羽亮平