臨床情報 「2Eについて 発達障害、ADHDなどの方の個性を活かす」
日常診療の中で発達のお悩み(病名は発達障害、ADHD、学習障害などに該当します)で受診される方とお話をしていると、キラリと光る個性をお持ちの方が多いように思います。
例えば、
動物など自然科学が好きで、図鑑を写真に撮るように覚えてしまう。
ファッションなど美的感覚(色彩感覚への鋭さ、視覚情報処理の繊細さとこだわり)
音楽への造詣の深さ(音への感覚過敏)
また、発達障害やADHDなど神経発達の凸凹のある方には、「インテンス intence」であることを認めやすいです。
インテンスとは、『没頭する、猛烈な、熱中する』などを表す形容詞です。
インテンスであることは、研究や経営、芸術系など、どの分野であっても大きな業績を残すために必要な条件であると思います。
発達障害やADHDの方の「こだわり、過集中、多動・衝動性」は時には悩みにもつながりますが、プラスの力に生かされると、「インテンス」な能力として大きな可能性を秘めています。
「興味のある分野に粘り強く猛烈に熱中できる」才能をどのように見つけて伸ばしていくのか、僕自身の最近の大きな課題の一つになっています。
こういった考えの解決として、2E 「twice exception」 のことを少し話させてください。
2Eとは? 「twice exception」 二つの例外を持つ人を指します。
簡単にいうと、障害と才能を両方持つ方、といえます。
話の繰り返しになりますが、
発達障害、ADHDなど発達の悩みで受診される方には、特に算数・数学、絵画や音楽、また、視覚情報処理能力などに優れた能力を認める方が多いように感じます。
こういった方には、障害のケアだけでなく才能へのアプローチです。
2E教育とよばれる、障害と才能を併せ持つ方への教育は、1980年代にアメリカで始まりました。
「才能」というと、「IQテストの高い能力では?」「自分には得意なことや興味のあることはない」という方も多いとおもいます。
まず、IQテストは重要な指標ではありますが、その人物を表す全てではありません。(また能力や状況により実際よりも低めに表現されることがあります。)
また、障害と才能は隠し合うという性質があります。
まず、患者さんや家族も気がついていない良さがあるのではないか。
また、これまでの悩みの多さに伴い、自分に自信がもてず前向きに自分を見つめることや努力することができない面があるのかもしれない。
精神科医としては、こういった自己効力感の低下等、情緒面への支援はとても大事だと思います。
名駅さこうメンタルクリニック
院長 丹羽亮平