臨床情報 「ADHD・自閉スペクトラム症と学業・進路」
当院にはお子さんの患者さんも多く通院されております。
受診された当初のお悩みは、
学校生活の問題、素行問題、暴力行為、暴言、万引き…
など、日々の生活がままならないような問題行動に悩まれていらっしゃる方が多いです。
これらの問題行動は通院される中で改善されることが非常に多いと実感しております。
(本人や家族に心理教育・心理療法、薬物治療、放課後デイサービスの提案など行います)
一方、重大な問題行動が解消されると、次にお悩み(家族からの訴えも多いです)として挙がってくるのが学業や進路のことです。
中学受験をするべきかどうか。
勉強は好きではないけれど、高校・大学に行かせるかどうか。
テストの点や内申点を上げるには?
よく相談されますが、患者さんや家庭により状況や考え方が異なるため、「こうしたら良い」と一概にはいうことはできないです。
ただ、面白みの感じらない作業(勉強)を継続的に行うことはやはり不向きであろうということ。
毎日、計算ドリルの決まったページを行う。
漢字をノートいっぱいに書く。
字が汚い(書字の苦手さ)などの特性としての苦手さとともに、そもそも興味がわかないと集中ができない・手がつけられないことがあります。
好きなことを伸ばす。進路も本人が興味があることを。
必要な勉学は興味をもたせておもしろいと感じるように。
ということが大前提ですが、
実際は、
やりたいこと・好きなことが見つからない、
長期的なスパンで考えるやりたいことよりも、目先のことに注意が向く(行きたい学校はあるが、そこに向けた勉強よりも、目先のゲームに手がのびる。)
親も忙しく、毎日のきめ細かい勉強の指導は現実的に難しい。
など理想通りにはいかないものです。
医師として、本人や家族とともに、短期的な問題やゴールに対応しながら、
長期的に見た前向きな選択をどう行っていくかを一緒に考えることができたらと思います。
また、発達特性を持つかたには、
興味のもったことに対して、素晴らしい集中力や行動力、次々と沸くアイディア、
思考過程をショートカットして正解を導くことができる能力など
スペシャルな能力を認めるかたも多いように思います。
それぞれ能力を生かすことを考えたいです。
名駅さこうメンタルクリニック
院長 丹羽亮平