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臨床情報 「認知症と自閉スペクトラム症・ADHDの関係」

認知症と自閉スペクトラム症・ADHDの関係

 認知症にて心療内科に相談にいらっしゃる患者さんでは、パーキンソン症候群に伴う不眠・不穏や、認知症にともなう問題行動(暴言や暴力など)に家族が悩まれるケースがしばしばあります。


 こういった患者さんのご家族に話を聞いていると、「認知症になる以前の若い時から家族への暴言・暴力があった。」「極端に学習が苦手だった」など、現在で判断すると自閉スペクトラム症やADHD、学習障害に該当するのではないかと思う事例が多いことに気がつきます。意識して診察すると多いなと感じます。


 例えば前頭側頭型認知症も神経発達障害も前頭葉症状を認めますし、ADHDもレビー小体型認知症もドーパミン系の症状を認めます。因果関係はあるのではないかと感じておりましたが、最近これらについて研究が進んでいるようです。


中央大学の緑川先生のご研究です。下矢印

発達障害と認知症 | 中央大学 文学部 緑川研究室(神経心理学研究室)
パーキンソン病やレビー小体型認知症の人々に対して昔を振り返ってもらうと,発達障害の一つである注意欠陥・多動性障害(attention deficit/ hyperactivity disorders: ADHD)だった率が他の認知症に比較して有意に高いことが報告されています.同じく,原発性進行性失語症の人々を調査すると,本人やその家族に学習障害(learni…
リンク
c-faculty.chuo-u.ac.jp

 自閉スペクトラム症の方に見られる、不器用さ(協調運動の苦手さ)やコミュニケーションにおける表情や動きの乏しさなど軽度のパーキンソニズムとも判断できます。

 気になることは、自閉スペクトラム症・ADHDなど神経発達障害とあるグループの認知症は実は同じ疾患群なのか、または、神経発達障害が認知症のリスクになるのか、
 そして、若年時に神経発達障害の改善のためのアプローチを行うと認知症の発症を減らせるのかです。

 今後の研究に期待されます。


名駅さこうメンタルクリニック
院長 丹羽亮平