臨床情報 「漢方薬に中毒性」
漢方薬に中毒性
花粉症のシーズンや鼻風邪の時、内服するならば僕は『小青竜湯』を選ぶことが多いです。
風邪薬として有名な葛根湯と同じように、マオウ(麻黄)、ケイヒ(桂皮)が主成分となり、発汗を促し温め風邪を発散させます。抗ウイルス効果も言われています。
実際使用する分には、眠気がなく鼻水がおさまり元気が出るので使用感がいいです。
小青竜湯のメインとなる生薬「マオウ」は主成分がエフェドリンです。
エフィドリンとは薬理学的に構造がメタンフェタミン(覚せい剤の成分)と非常に似ており、メタンフェタミンほどではありませんが、中枢神経系の賦活効果があります。
つまり、交感神経系を刺激します。(→その結果、鼻水を止めたり眠気・倦怠感を軽快させ元気な気分にさせます。)
マオウの副作用は交感神経系の亢進に伴う症状で、心血管系(血圧↑、動悸)、発汗、不安や不眠、抑うつなどの精神症状がありますが、また、エフェドリンが主成分のため依存性が生じる可能性があります。
(交感神経賦活の作用があるコンサータと副作用はやはり同じ系統です。)
マオウ主成分の葛根湯、小青竜湯はやはり長期使用は避けるべき漢方ですね。
交感神経賦活効果はコンサータなど中枢神経賦活薬と比較するとはるかに弱いですが、
「風邪になると葛根湯を飲まないと落ち着かない」と訴える患者さんが時折いらっしゃるように、依存性は軽微ながらあります。
また、主成分ではありませんが、小青竜湯にも「カンゾウ:甘草」が含まれます。
複数の漢方を内服されてる方は、甘草の1日内服量に気をつけないと『偽性アルドステロン症』のリスクがあります。
名駅さこうメンタルクリニック
丹羽亮平