臨床情報 「漢方の肥満薬で肝障害」
漢方の肥満薬で肝障害
先日、うつ病の薬物治療の導入を考えた患者さんに採血をしたところ、強い肝逸脱酵素(ALT,AST,LDH,CK)の上昇を認めました。
つまり、肝障害だったわけです(肝酵素上昇は循環器・呼吸器系の急性症状でも起こりえますが、それらの症状なく明らかに否定的でした)。
肝障害の原因は複数ありますが、頻度の高いものはアルコール性と薬物性です。
アルコールの飲用は少なく、他院で出されている内服薬に肝障害を起こしやすいタイプのものはありませんでした。
問診をすすめるとわかったことは、肥満を気にされて、一般用医薬品(OTC医薬品:薬局で買える医薬品)にて『防風通聖散薬』を飲んでいたことです。
漢方は「副作用が少ない、依存性が少ない」という考えは基本的には正しいですが、少なからず存在します。
防風通聖散は、肝障害を認める方のもっとも多い漢方といえます。(一般的なOTC薬なので内服している方がとても多い。)
漢方における肝機能障害の9割は生薬の「オウゴン」が関連すると言われています。
オウゴンは小柴胡湯、柴胡桂枝湯など複数の漢方薬に含まれますが、肝機能障害でもっとも有名なのは防風通聖散薬です。
OTC薬では、ナイシトール、コッコアポAが防風通散薬です。
漢方薬はOTC薬が多く基本的に安全性は高いですが、よくある副作用については内服するならば把握する必要があると思います。
名駅さこうメンタルクリニック
丹羽亮平