臨床情報 「慢性的な痛みについて 疼痛性障害」
慢性的な痛みについて 疼痛性障害
『痛みにおおげさに反応する人』
診察などで時折伺う話に関することです。 「夫や子供の体に少し触れただけなのに、ものすごく大げさに痛がるんです。」 患者さんのご家族が雑談の中で、患者さんにつ…
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以前のブログにつながることですが、
明確な身体的な原因がないけれど痛みを慢性的に感じる疾患として、疼痛性障害があります。
DSM5では身体症状症のひとつに分けられています。
身体症状症(Somatic Symptom Dysorder) のDSM5診断基準は以下になります。
A.1つまたはそれ以上の、苦痛を伴う または日常生活に意味のある混乱を 引き起こす身体症状
B.身体症状、またはそれに伴う健康へ の懸念に関連した過度な思考、感情 または行動で、以下のうち少なくと も1つによって顕在化する
1)自分の症状の深刻さについての不 釣り合いかつ持続する思考
2)健康または症状についての持続す る強い不安
3)これらの症状または健康への懸念 に費やされる過度の時間と労力
C.身体症状はどれ一つとして持続的に 存在していないかもしれないが、症 状のある状態は持続している (典型的には6か月以上)
痛みが慢性的に続き、社会生活や家庭生活に多大な影響をもたらすものですが、
原因は明確にはわかっていない疾患ですが、セロトニン系の機能障害の関連が言われています。
まずこの疾患の難しい点は「身体的な痛み」はメインのお悩みなのに精神科で治療をするというところでもあります。患者さんが治療の方向性に納得されるかは、治療による改善効果にも影響を与えます。
また、うつ病、双極性障害、自閉スペクトム症、統合失調症等の精神病性障害などの、精神疾患の併存がしばしばあり、治療の難しさにつながっています。
治療については、まずは医療者と患者さんが治療に信頼できる関係性の構築が前提となりますが、
その上で、薬物治療(抗うつ薬のなかでも、セロトニン↑ノルアドレナリン↑の作用をもつSNRI、三環系が挙がります。)、カウンセリング、他にTMSなどが有効と考えられます。
お悩みの方はかかりつけの医師にご相談ください。
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名駅さこうメンタルクリニック
院長
丹羽亮平