臨床情報 「統合失調症と進化論」
統合失調症と進化論、
感染症など多くの疾患は文化的、社会的な様々な要因で発症率が変化をするのが一般的です。
しかし、統合失調症は「古くから民族、地域、社会階級 に関係なく人口あたり約 1 %にみられる頻度の多い疾患である」という極めて珍しい疾患です。
統合失調症の発症に関連する感受性遺伝子が多数見つかっていますが、いわゆるメンデルの法則通りに遺伝し発症する疾患でもないことがわかっています。(顕在発症しない統合失調症リスク遺伝子の保有者が多数存在している。 )
このように古代の時代から脈々と伝えられてきた統合失調症関連遺伝子ですが、やはり遺伝する価値のある遺伝子として存在することが興味深い点です。人類の言語獲得の進化の過程に密接な関連があることの示唆や、想像性に関わる遺伝子との関連が指摘されています。
加藤敏先生の執筆された論文です。
「進化論の見地から見る統合失調症」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsbpjjpp/23/1/23_53/_pdf
↓統合失調症の歴史から現在のわかっている知見など、非常によくまとまった1冊です。
説明書きにて、
『幻覚や妄想が生じるが,病識の欠如のため本人はそれを認めない.青年期から成人期前期に生じ100人に1人近くが患うこの病気は社会生活への影響が生涯にわたるのにあまり知られていない.経験ある精神科医が症状,経過,他の精神科の病気との違い,リスク因子,治療,歴史と社会制度などをわかりやすく解説する.』
名駅さこうメンタルクリニック
院長
丹羽亮平