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臨床情報 「支援級から普通級にもどれる?」

支援級から普通級にもどれる?

この時期、来年の新年度を迎えるにあたり、診察室にて「普通級か支援級か?」の話題をしばしば伺います。



支援級か普通級かの判断 。発達障害、ADHD、知的障害、不登校 (meiekisakomentalclinic.com)





基本的には上記ブログの通りなのですが、



「支援級にすると、普通級に戻れないのでは?」



といったご質問をよく受けるので、その点について簡単に私見をのべます。



まず回答は、

A、お子さんの状況によって普通級に戻れます。





 支援級に在籍をしていても、普通級への交流の機会(交流級)がありますので、その状況をみながら普通級への変更を考慮することができます。



①学力はある程度ついていけるか。

②同級生との交流はどうか。

③集団活動の参加の様子はどうか。



主にこの3点について考える必要があります。





〇学力がまあまあ問題ないお子さんの場合、年齢とともに、こだわりにともなうかんしゃくや、不注意や多動にともなう問題行動が目立たなくなることで、普通級に変更できるケースをしばしば認めます。



 また、不安の感じやすさや不注意・多動、かんしゃくなどは薬物療法をきっかけに大きく改善し普通級に変更するきっかけになることがあります。





 対人交流の苦手をみとめても、集団の中で本人が苦痛感なく過ごせる際は、普通級も可能と思います。









しかし、悩ましいのは以下のケースです。



〇学力が年齢相当から遅れているお子さん(知的検査で問題を指摘されているお子さん)は、能力にもよりますが、普通級への変更はなかなか難しいかもしれません。





 情緒面、社会生活の活動面で問題なく、純粋に学力の問題のみを指摘されている際は、普通級に変更した上で、通級の利用・支援員をつけていただく・学習支援や塾に通うことで、ある程度カバーできるかもしれませんが、

 知的能力(学力)、情緒的な安定、社会生活能力、は互いに密接に関連しており、学力だけが問題で、他は大丈夫と言い切ることは難しいことが多いからです。







 また、学年があがるにつれ勉強内容は難しくなり、小学校高学年→中学校と、学校生活における勉強の重要性が増すため、

 「勉強はできなくてもいいから楽しく学校に通えたら良い」という考えが現実的に通りにくくいことがあります。

  そして、勉強への苦手意識や授業の苦痛が増えると、不登校、ゲームやYoutubeなどへの依存傾向など二次的な問題が起こるリスクが上がります。





 



 お子さんの状況をみて、ご家族、学校の教員、放デイなどの療育スタッフ等の意見を踏まえて

普通級、支援級判断することが良いと思います。







名駅さこうメンタルクリニック
院長
丹羽亮平