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臨床情報 「精神疾患を詐病できるか?医師をだませる?」

精神疾患を詐病できるか?医師をだませる?

 医師の友人との雑談での内容です。



 「精神疾患は血液検査や画像検査があるわけではないので、症状を騙って医師をだますことができるのではないか?」



 と聞かれました。



 これは他の方からも時々言われますが、

 



自分の回答は、



 短い診察時間の診療だけなら、精神科医をだますことはできるかもしれないですが、

 手帳や年金の申請をするような際の、ある程度時間を割いた診察や長期間の症状の経過を考慮した症状では、症状を騙ることは非常に難しいです。









 例えば、統合失調症の診断基準は以下になります。



A.以下のうち2つ(またはそれ以上),おのおのが1カ月間(または治療が成功した際はより短い期間)ほとんどいつも存在する。これ らのうちの少なくとも1つは(1)か(2)か(3)である。

(1)妄想

(2)幻覚

(3)まとまりのない発語(例:頻繁な脱線または滅裂)

(4)ひどくまとまりのない,または緊張病性の行動

(5)陰性症状(すなわち感情の平板化,意欲欠如







 妄想についてだけでも、典型的な妄想とそうではない妄想。

 

 また、強い妄想や幻覚を認める方には、所作にそれらしい行動パターンがあります。



 他にも、症状の出現時期の年齢や、その頃から不登校を認めるなどの社会機能の障害はどうか? という現病歴以外の生活歴も重要になります。





 つまり、診断基準には記載されていないですが、典型的な症状・現病歴・家族背景・生活歴・日常生活の様子などをふまえての診断になりますので、よっぽど精神疾患の知識のある人物が時間をかけて症状を騙らないと、医師の正式な診察を騙すことは難しいと思います。





 

 精神疾患は検査がなくても診断されるのは、典型的な症状・現病歴・生活歴・家族歴などの背景を認める症状を疾患群として定義したものだからなのです。







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名駅さこうメンタルクリニック

院長 丹羽亮平