臨床情報 「トリンテリックスの使用が増えている。レクサプロとの比較」
トリンテリックスの使用が増えている。レクサプロとの比較
これまで成人に対する抗うつ薬では、レクサプロを使用する例が多かったのですが、
最近はトリンテリックスを選択することも増えてます。
個人的には、成人に対する抗うつ薬の中では、レクサプロとトリンテリックスを中心に選択しています。
(若年者、うつ病以外疾患に対する抗うつ薬の使用時は他の抗うつ薬の選択も多いです。)
レクサプロとトリンテリックスの、共通点、異なる点の比較についてはブログ後半に記載したので参照ください。
さて、臨床的な感想ですが、
抗うつ薬は何であれ、効果が望める内服量まで増量を行い、その内服量で患者さんが抗うつ効果の実感を得られたならば、充分な期間を内服していただければ『うつの改善』は高率に望めると認識しています。
(ストレッサーの除去、環境調整、運動、心理療法などの抗うつ薬以外の話は今回は横に置いておきます。)
そのため、結局、抗うつ薬の治療において大事なことは、
1、抗うつ効果がしっかりあること
2、内服継続ができること
になります。
レクサプロ、トリンテリックスはこのどちらも優れておりますが、
しいて言うと、
1、抗うつ効果がしっかりあること
レクサプロ > トリンテリックス
トリンテリックスの効果が乏しくてレクサプロに変更し、抗うつ効果が得られるケースは、しばしばある。
2、内服継続が行いやすいこと。副作用がでにくいこと。
レクサプロ < トリンテリックス
レクサプロの方が、吐き気、性機能障害はやや少ないと実感する。
患者さんの状況など考慮し、レクサプロとトリンテリックスを使い分けます。
下矢印レクサプロとトリンテリックスの、共通点、異なる点の比較は以下に記載しています。下矢印
過去ブログの転記になりますが、
抗うつ薬 トリンテリックスとレクサプロの比較 | 大人と子ども こころの専門医ブログ〜名駅さこうメンタルクリニック (ameblo.jp)
レクサプロとトリンテリックスの共通点
四角オレンジ副作用が少ないことと、
四角オレンジ1錠で効果が得られること。効果の得られる内服量への増量の時間がかからない。
(例えば、ジェイゾロフトは効果を得るまでに25mg⇨50mg⇨75mg⇨100mgと何回も増量する必要がある)
四角オレンジ1日1回内服でよいこと
四角オレンジ抗うつ効果がしっかりあること
対レクサプロのトリンテリックスのメリット・デメリットについて
丸レッドトリンテリックスの方がセロトニン受容体に作用する関連の副作用がやや少ない、と言われている。
(・嘔吐や下痢といった胃腸障害 ・性機能障害)
丸レッドレクサプロの方が不整脈(QT延長)に関する注意が必要
丸レッドトリンテリックスは認知機能への改善効果が期待できる、と言われている。
丸レッド抗うつ効果は、レクサプロの方が高いか??
トリンテリックスは副作用がすくなく、また認知機能改善効果が報告されています。
抗うつ効果については、対レクサプロのデータがまだ十分ではありませんが、
個人的にはレクサプロと同レベルか、ややマイルドな印象です。
名駅さこうメンタルクリニック
院長
丹羽亮平