臨床情報 「コンサータについて、まとめ」
コンサータについて、まとめ
診察でADHD薬について説明をする機会が非常に多いため、過去のブログをまとめて見やすいようにしようと思っています。
注意欠如多動症(ADHD)の治療について、
非薬物療法(心理カウンセリング、作業療法、環境調整:家族が患者さんへの対応を変える、仕事や学校などの環境を変える、など。)だけでは症状の改善に限界があったり、症状のお困りが非常に強い時には、薬物療法を提案いたします。(薬物療法にて治療効果の得られる症状の場合に対してです。)
ADHDは生まれ持ったもともとの特性と捉え、治療改善が難しいと思われている方は多いですが、薬物療法による治療効果は高く、改善の期待できる症状群です。
〇まず、ADHD症状に対してはじめて薬物療法を行う際は、以下の3剤が考慮されます。
薬ごとに異なる効果や副作用を伴うため、年齢や症状を見ながら検討します。
ストラテラ コンサータ インチュニブ
また、この3剤を使用しても十分な効果の得られない方 or/and 副作用など何かしらの理由で上記薬を使えない方には、ビバンセを考慮します。
まずコンサータ「メチルフェニデート」について
〇基本的な特徴
・「中枢神経刺激薬」です。
脳内の神経間のドーパミンの再取り込みを阻害することにより、ドーパミンが受容体に結びつきやすくなることで、ADHDの症状を改善させます。
〇良い点について
・不注意、多動・衝動性にシャープな効果があります。
日中の学校生活や仕事のトラブルなど、これまで他の治療(環境調整や他の薬物療法)を尽くしても改善が難しかった症状に対して、著効する可能性があります。
効果はおよそ12時間。(診療における実感としては10〜12時間)
➡おもに日中の症状への効果です。
・集中力が増す。(授業をじっくり聴けるようになる、相手の話をじっくり聞ける。作業に集中して行える。)
・いやなことに向き合いやすい(→宿題をやるようになる。不登校の改善にも効果がある。)。
・日中の眠気を飛ばす。(つまり、内服する時間が遅くなると、効果が夜に持ち越し寝つきがわるくなる恐れあり。)
・テキパキ動きやすくなる。
・作業の組み立てがうまくなる。マルチタスクがやりやすくなる。(仕事、家事、育児が行いやすい)
・イライラが減る。
・気分の変調が減る。
〇悪い点について
・副作用のリスクがある。
以下の人は基本的に処方できません。
・過度の不安、緊張、興奮性のある人
・閉塞隅角緑内障の人
・甲状腺機能亢進のある人
・不整頻拍、狭心症のある人
・過去にコンサータ錠に含まれる成分で過敏症のあった人
・運動性チックのある人
・重いうつ病のある人
・褐色細胞腫のある人
・モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤を飲んでいる、または飲むのをやめてから 14 日以内の人
ほかに、 頻度は多くはないですが重篤な副作用(不整脈、脳血管障害)のリスクがある。
重篤ではないけれど、しばしば起こる副作用は、吐き気、頭痛、めまい、食欲不振。
(これらの副作用は飲み初めによく出現し、時間とともに軽減することも多い。)
・精神依存性の指摘があること。 効果がある反面、内服に頼りたくなる可能があります。
・ネガティブなイメージがあること
同様の成分を含んでいた「リタリン」が過去に乱用が問題となったこともあり、コンサータも一般的にあまり良いイメージがないのではないでしょうか?
現在は、違法な乱用を防ぐために流通規制委員会が設置されており、登録された医師のみがコンサータを処方可能であり、患者さんもコンサータを処方する際は登録する必要があります。
➡コンサータの副作用の出現率やよく聞かれることについてはクリニックブログで説明しています。
名駅さこうメンタルクリニック
院長 丹羽亮平