コミュニケーションの苦手さ、について思うこと
コミュニケーションの苦手さ、について思うこと
最近は発達障害について、昔にくらべるとそういうものがあるという情報が、広がったなと思います。
何それってならなくなったように思います。
ネットやSNSが発達して、著名な方だけでなく、一般の方も自分のことについて発信ができるようになったことも大きいかなと思います。
コミュニケーション、人付き合いが苦手、を主訴(メインの困りごと)で病院に来られる方も本当に増えました。
アスペルガー障害、広汎性発達障害(PDD)、自閉スペクトラム障害(ASD)
色々な呼び方ありますが、すべてに共通しているのは、対人相互性の障害が存在する、ということで。
程度の差こそあれ、必ず存在していなければ診断をつけることができません。
「対人相互性の障害」
難しい言葉使いますよね。ざっくり言えば、他者の心を理解する力、つまり見えないものを見る力、想像する力、ということになります。
そういわれてもまた難しいですよね。心、思考、気持ち、みたいな目に見えないものを予想する、想像する力、どうやって評価するのか、って思います。
色んな検査がでていますが、それぞれいい線いっていますが、完璧なものはない、と私個人は思っていましたし、今も思っています。どれほど客観的に評価しようとしても、評価者が人である以上、その人のバイアスは必ずかかります。検査はあくまでも参考程度、しかしいくつかを組み合わせることで、主治医の判断の答え合わせにはなるだろうと思います。
私も、こういう検査結果になるんじゃないかと推測した状態で、検査結果みるようにしていました。もしそこで予想と違うなら、その理由を見つける必要があります。逆に、予想、推測していなければ、自分の思考のどこが違っていたのか、さかのぼることができません。
ここでカンのいい方なら気がつくかもしれませんが、評価する側に想像する力、見えないものを見る力が必要だということです。
つまり評価する側に対人相互性の障害がある場合、他者の対人相互性の障害があるか、ないか、その程度、を予測することが難しくなることがある、ということです。
精神科医や心理士になる人にある程度必要な条件の一つに、入ってくることだと思います。しかし人とは不思議はことに、そうじゃない人にこそ親和性があるのです。なんだか心が引かれる、ってことです。コミュニケーションが苦手だったとしましょう、対人関係でうまくいかないことが多かったとしたら、人とは何なんだろうと、自分とはいったいなんだろうと、苦手だったそのものに興味がでることってあると思います。
しかし向いていないというだけで、できないというわけではありません。
コミュニケーション能力、他者の心の理解、見えないものをみる力、は後天的に努力によって能力の向上が可能だからです。
大人になってからであれば、ビジネス上必要とされる、論理的思考、問題発見能力からの問題解決能力、は学習とトレーニングによって獲得可能なのと同じです。
多くの失敗、多くの努力から、対人相互性の障害を改善させてきた人が、誰よりも同じタイプの人のことを分かることもあると思います。
私はそのようにして苦手さを克服した人たちを知っています。
だから、コミュニケーションの苦手さは、変えていくことができると思っています。自分の経験の中にその根拠があるからです。
そして見えないものをみる力がついたら、それは対人的なコミュニケーションだけでなく、他のすべてのことに応用可能です。世の中には、見えてないものが多く、それを具現化するためには構想力が必要ですが、その力を伸ばすきっかえに必ずなるはずです。
医療法人永朋会 理事長
加藤晃司