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治療者の年齢とともに、やりやすい疾患も変化していく

治療者の年齢とともに、やりやすい疾患も変化していく

これは圧倒的に私が勝手に言っているだけのことでして、科学的根拠はありません。

しかし私と、私がタイトにトレーニングした後輩たちをみる限り、そういうことは事実としてあったと思います。

まず私の場合は、初診でたまたま出会う疾患も、私の年齢とともに変化していきました。要は、同じような疾患の方がある一定の時期にまとまってきて、それが違う疾患に変わっていくという感じでした。

強迫の子が続くな、とか、今はパーソナリティーの子が多いな、とか。

患者さんの年齢と、自分のその時の年齢、のバランスがいいとき、ある程度やりやすいと感じるのだと思います。

患者さんのもっとも大きな問題点となっている対象が、自分の年齢に近い場合、感情や感覚を投影しやすいはずです。
つまり葛藤をその場で発生させやすくなるのではないかと思います。それは性別によっても、異なってくると思います。

ほんとは専門家として、年齢、性別、関係なく、同じようなクオリティーで治療を進めないといけないのですが、ピントが合った方が治療の進展が早いのは間違いないような気がしています。

ですが、自分の実際の年齢や性別などを利用した場合、患者さんの問題点、葛藤の対象となっている登場人物が変化した時に、急に治療のスピードが落ちてしまいます。停滞する感覚を、双方ともに感じていたと思います。
それが自分自身を使いすぎた時の副作用なのかなと、いま振り返るとそう思います。
ちょっと反則技みたいなところがあるということでしょう。

といわけで、最初、はじめましてのときに、なんとなくピントがあう感覚がでるときは、相性がいいというわけではなく、上記のような状態になっている可能性があるかもしれません。その時の自分限定というか、それがずっと続くわけではない、と覚えておいた方がいい。

これは治療だけでなく、プライベートでの誰かとも関係にも言えるのではないでしょうか。

なんかしっくりくる、ときほど、気を引き締めていかないといけない、と思うように私はしています。

医療法人永朋会 理事長
加藤晃司