熱中症に気が付きにくい精神疾患患者さん
熱中症に気が付きにくい精神疾患患者さん
精神科に通院していらっしゃる患者さんには、主訴となる疾患に加えて、自律神経失調症状を認める方が非常に多いです。
例えば、
・うつ病で通院されていらっしゃる方が、悪天候の時に、自律神経失調症状が悪化し頭痛やめまいが出現する。
・女性患者さんが、月経前の時期に併せて、吐き気、倦怠感、めまいが出現する。
・発達障害が主な原因で不登校となっている方が、寝起き時にたちくらみ、腹痛が出現する。
こういった、もともと精神的疾患の傾向を持つ方が、ストレス、ホルモンの乱れ、生活習慣の乱れ(睡眠不足など)により自律神経失調症状(身体症状・精神症状)を認めることはよくあります。
しかし、暑くなる夏場には、こういった自律神経失調症状に対して一層気を付ける必要があります。
昨年通院していらっしゃる患者さんに起こったエピソードですが、
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寝起き時に、めまい、頭痛、吐き気が出現し、はじめは「いつもの自律神経失調症だ。」と、考えたそうです。
そして、同居する家族に体温計をもらい測ってみると、39度を超える発熱があり、今度はコロナウイルスやインフルエンザを疑いました。しかし、咳・鼻水・咽頭痛などの上気道症状がないため不思議におもったそうです。
しばらくして、家族から「熱中症ではないか?」と指摘されて合点がいき、慌てて水分摂取と休息をとることで症状は落ち着いたそうです。
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熱中症は体における体温調節機能が適切に働かなくなった結果起きる症状ですが、これは自律神経機能と関連します。
そのため、熱中症の初期症状は自律神経失調症と区別がつかない可能性があります。
また、普段から自律神経失調症にお悩みの方は熱中症になりやすいと言われております。
普段から自律神経失調症状をお持ちの方は、ぜひ夏場の水分摂取と休息を心がけてください。
また、自律神経失調症状が出現した際には、熱中症の可能性もご考慮ください。
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丹羽亮平