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チックについて

チックについて


チック、音声チック、動作性チック、がありますが、発達障害への合併も多いので、症状がでている子は結構いました。

一時的なもので、成長とともに改善していく場合もありましたが、形を変えながら、動作性なら動いてしまう場所が変わったりしながらも、うなくかわせている子もいました。

不安、緊張があると、チックがひどくなってしまうことがあります。

それが何らかの環境的な要因であれば、取り除くこともできるかもしれませんが、ここでチックがでたらどうしよう、みたいな予期不安は、防ぎようがないところがあります。
そしてそういう場面での失敗体験があると、二度目以降の不安がさらにたかまり、パニック発作的な不安連鎖がおきてしまうことがあります。

こうなると悪循環にはまってしまうので、予期不安はあったけど、チックがでなかった、良かった、という成功体験のフィードバックが必要なこともあります。


神経細胞の誤作動みたいなところがある症状ですし、自然に改善していくことがありますが、失敗体験が連続してしまうと、その原因がチックだったとしても、二次的で、さらに重篤な問題に進展してしまう可能性あります。

そうなる前に、いざという時に、チックをある程度抑えることができる、自分にあっている内服を見つけておくことは、悪くないと私は思っています。

これも一つの落としどころをつける練習だと思っています。

自分としては、親もそう思っているし、内服使わないでなんとかしたい、が第一希望、プランA、だとしても、自分ではコントロールできない周囲の環境、自分の体調、学校でのクラスメイトのメンツの具合、などなど、自分の気合だけではどうしようもないことあります。
それは子どもだけでなく、大人になっても、なんどもなんども発生することです。
その時の自分でやれるだけやりきって、それでもダメな時は、プランB、それでもだめなら、プランC、と妥協して、目標を損切りする練習をすることは、生きる力をつけるうえで重要だと思います。

チャレンジは称賛されて、勇気ある撤退が評価されないのは、なんか違和感があります。


予想外の困難が発生した時に、臨機応変でいられること、結構大事だと思います。


チックへの内服の話で、なぜこんなことを書くかというと、私が経験したケースでは、落としどころを見つけるのが苦手な子が多かったからです。家族のシステムとしても、落としどころを見つけるのが、苦手で、練習不足なのかな、と思うことが結構あったからです。


自分の気持ちに折り合いをつける、相手との間に落としどころを見つける、大人になっても、プライベートでも、ビジネスでも、そういうことの連続なはずです。

どの治療も、精神科では完全に症状がとれる、ということの方が少ないと思います。

しかしその大変さの先に、そうではなかった人には身につけられない後天的な能力がつくことはあります。
そしてそれは気が付ければ、自分にしかない強みになることもあるのです。


医療法人永朋会 理事長
加藤 晃司