ADHDと脳の炎症について
ADHDと脳の炎症について
細胞の炎症が、あらゆる病気の原因の一つとなっている可能性、があるよね、という話を一度しました。
老化の原因が、慢性炎症にある、とするなら、細胞が劣化することによって、多くの病気は後天的に発生しているのではないかと思います。
精神疾患と炎症について調べていたら、ネット上にこのような記事がでていました。
以下引用
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浜松医大など研究 新薬の開発に期待
注意の続きにくさや落ち着きのなさを主な症状とする発達障害の一つ、注意欠陥多動性障害(ADHD)。その原因として、神経伝達物質「ドーパミンD1」受容体と脳内の神経炎症が相互に関わっていることが、浜松医科大などの共同研究で明らかになった。現在の治療薬は成長の阻害や心臓や血管への影響など副作用が課題だったが、仕組みが分かったことで飲みやすい新薬の開発につながると期待される。 (細谷真里)
ADHDは、世界で人口の約5%が診断されるといわれる発達障害。注意の程度などに関係する神経伝達物質「ドーパミン」が関与していることが知られ、脳の神経の炎症が関わっていることも推測されてきたが、人間では具体的に確認されていなかった。
共同研究では、健常者とADHD当事者それぞれ二十四人の頭部を陽電子放射断層撮影装置(PET)で撮影し、画像を比較。心理検査や症状の評価もして分析した。
ADHD当事者では、注意や感情などのコントロールに重要な役割を持つ前頭葉の内側部分で、ドーパミンの一種「ドーパミンD1」のうち神経伝達の受け皿の役割を果たす「受容体」部分の機能が低下。計画性などに関わる前頭葉の外側、下側部分で脳の環境を整える細胞「ミクログリア」が活性化して過剰に働き、脳内の神経が炎症していることが分かった。
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https://www.chunichi.co.jp/article/72831
他の論文でも
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ADHDにおける神経炎症の役割の可能性
A Potential Role for Neuroinflammation in ADHD.
Vázquez-González D, Carreón-Trujillo S, Alvarez-Arellano L, Abarca-Merlin DM, Domínguez-López P, Salazar-García M, Corona JC
AIによる要約
ADHDは小児・青年の神経行動学的障害であり、酸化ストレスの増加やドーパミンなどの神経伝達系の障害、脳の異常が確認されているが、病態生理は完全には解明されていない。神経炎症の亢進が関与するとされ、免疫反応の変化、炎症関連遺伝子の多型、自己免疫疾患や炎症性疾患との併存、出生前の炎症への暴露が子孫の脳発達の変化と関連し、危険因子となる。遺伝・環境リスク因子や薬剤が神経炎症を高める可能性がある。
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https://hokuto.app/article/36949317
つまり先天的な要素が強いと思われる発達障害の一つであるADHDの原因として、脳内の神経炎症の関係性を示唆しています。
ADHD症状一つとっても、特に成人後、自身の脳細胞は常に老化していっているわけで、それまでよりも症状がひとくなることは間違いなくあるわけです。細胞、特に脳細胞の老化と、精神科で扱うとされている、いろんな症状はかなりの確率で関連していると思います。精神科の内服薬は、ほぼ脳の神経細胞に作用しています。脳の特定の場所で、セロトニン増やしたり、ドパミン増やしたり、減らしたり、アセチルコリン増やしたり、などなど、神経活性を高めたり、低めたりしているわけです。それらを調整する機能さえ、おそらくは脳細胞の老化とともに、おとろえていくはずです。目が、調整機能の衰えで老眼になるのと、同じじゃないかと思ってしまいます。
精神科は、どうしても、「心」、「精神」、「深層心理」などにフォーカスすることが多いですし、見えないものを見るための治療者側のトレーニングは確実に必要だと思います。
その一方で、主には脳ですが、しかしその他体中のあらゆる臓器や細胞と、精神科症状はリンクしてくるはずです。どちらか片方だけみていればいいというものではないな、と精神科臨床をはなれ、他の診療科も経験すると、余計そう思うようになりました。
当たり前なのですが、脳、身体、心、すべてには連続性があります。
体が元気でなければ、心も元気にはなりにくいでしょう。
当たり前のことなんですが、精神というものにとらわれ過ぎると、以外に治療者も患者も、どちらも忘れがちになるような気がします。
視野が極端に狭くなっても意味ないですから、たまにいったん遠くから今自分におきている問題をみれるようになると、また違った解決策がでてくるかもしれません。
医療法人永朋会 理事長
加藤晃司
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