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脳神経の発達、伸び、再構築、はきっと誰にも予測はできない

脳神経の発達、伸び、再構築、はきっと誰にも予測はできない

脳機能について、多くのことが分かってきている反面、分かっていないことも依然として多い、ということです。

ADHD、アスペルガー障害、自閉症、学習障害、知的障害、など、多くの発達障害の子どもや、大人の方が児童精神科を受診します。
発達障害は生来の障害であり、治る可能性は、あまりない、というのが私が児童精神科になったばかりの頃は言われていましたし、実際治療法もほとんどありませんでした。療育や何らかのトレーニング、もしくはその特性に合わせて環境を調整していくこと、が主に行われていたと思います。

しかしこれから医学は進歩していき、保険適応になった内服薬や、そうではないが治療可能性がある内服、内服以外では、TMS治療や、再生医療からエクソソームのような今までにない可能性をもつ治療もでてきました。

脳神経は、一度設計図が完成したら、その後は伸びたり、再構築されることはないのか、それをすることができる治療はないのか

例えば、TMS治療は、いくつかの研究で、脳の可逆性に影響を与える結果を出しています。これは、神経細胞が新しい接続を形成したり、既存の接続を強化・弱化する能力のことを指します。TMSがこのような可塑性に影響を与えると、ある種の「再構築」が起こる可能性があります。また、TMSは、ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質のリリースも変化させる可能性があるとされています。これらの神経伝達物質が変化することで、脳内の神経回路が「再調整」される可能性が考えられます。

次に、エクソソームについてですが、エクソソームは神経科学においても研究の対象となっており、特に神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病など)の治療に向けた可能性が探られています。その理由としては、エクソソームが神経保護因子や再生促進因子を運べる「自然なベクター」として機能する可能性が考えられているからです。
エクソソームが脳神経の「発達」や「再構築」に影響を与えるかどうかについては、現在も研究が進行中です。一部の前臨床(動物実験など)や細胞レベルでの研究では、エクソソームが神経細胞の生存、成長、分化を促進する効果があるとされています。

このように少しずつですが、脳神経の再発達、再構築については、分かってきていることもあります。

内服薬についてのデータは少ないですが、一部の研究では、長期的な薬物治療が神経の可塑性に何らかの影響を与える可能性が指摘されています。臨床的な実感としても、例えばADHD治療薬を使っていた方が、内服をやめても、困っていた仕事や生活への影響が、それ以前よりも少なくなる、ことはあります。このあたりに、少しヒントが隠れているような気もしています。

つまり、あきらめるのはまだどの段階でも早いんじゃないかな、と思っています。

医学は常に前進していきます。

日本はいいもわるいも保守的ですから、新しく開発された治療が保険適応になるのに、海外に比べると時間がかかります。
しかしなんらかの症状で困っている人たちの時間は、どんどん先に進んでいきます。

当院では、可能性が少しでもあるなら、治療選択肢を少しでも多くできるように新しい治療も取り入れていくようにしています。

医療法人永朋会 理事長
加藤晃司
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