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家系図(ジェノグラム)を作る、治療でも、プライベートでも重要な理由

家系図(ジェノグラム)を作る、治療でも、プライベートでも重要な理由


家系図ってあるじゃないですか、あの男、□、女、〇になっていて、棒でつなげていく図です。
英語でジェノグラムといいます。


私が東海大学の精神科教室に2年の研修医期間が終わってはいった時に、新人教育の一環で、一人ずつに精神分析家の先生からスーパービジョンを受けるというシステムがありました。
今思えばすごいお得なシステムで、通常、認定された精神分析家からの指導を受けると、1回いくら、みたいな感じで費用が発生します。
それをただで受けていたわけですから、当時はよく分かっていませんでしたが、今思うとすばらしい教育制度でした。

私は、渡辺俊之先生、という精神分析家の先生が担当してくれました。すごい有名な先生なんですが、やはり面白いおじさん、くらいにとらえていたと思いますw
その先生から週1回スーパービジョンンを受けるのですが、結構序盤に、ジェノグラムを完成させないと、精神科医として未完成だと言われ、自分のジェノグラムを作りました。
家族、普段連絡しない親戚とかに、聞いて、苦労して作ったのを覚えています。

それを作る過程で、確かに、その中でしか感じることがなかった感覚、はありました。自分につながる、はるか過去からの連続性についてとか、自分の親とか祖父母、そのさらに上の世代の歴史、どんな人だったのか、どういう生き方、そして死に方だったのか、はこの作業をしなければ分からないことばかりでした。
親がどういう人生を歩んできたのか、親にももちろん親がいて関係性があって、というのは、普段生活していると意識しません。なんか親は、昔から親的なものだと思ってしまいますが、親にも子ども時代があり、悩みながら親になっている、わけです。大変な時に子どもができていたかもしれません。

結果としては、精神科医として患者さんの生育歴、家族歴を聞く時に、自分の生育歴、家族歴が整理、向き合えていないと、うまくいかないだろうな、と思いました。
言葉にすると表現しにくいですが、やったことない人にいられても納得できない、という感じでしょうか。質問がうすっぺらくなりますね、たぶん。
だから自分自身が精神分析を受けるというスーパービジョンも、やらないと分からないから、だと思います。どんなに本で読んでも、1回の経験に勝てない、そういう世界です。


というわけで、精神科医は必ずやってほしいですが、ジェノグラムを書くだけならいつでも、だれでもできます。

別に自分が調子悪くなくても、ジェノグラムを書く作業は、意味があると思います。やっていただければ、きっと分かってもらえると思います。
家族は、家族として以外の顔がみんなある。当たり前ですが、家族の中でしか接触していないと気が付かないものです。
そういうことに気が付くだけでも、対人関係、人を見るめ、他者配慮する力、など、変化しますし、それはビジネスにもきっと役に立ちます。

お金もかかりませんし、こうやって言われなかったら絶対やらないと思うので、ぜひちょっとでも心が動いた人はやってみてください。


医療法人永朋会 理事長
加藤 晃司
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