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心という目に見えないものを見ようとするトレーニングは他のことにも生かせる

心という目に見えないものを見ようとするトレーニングは他のことにも生かせる

治療者も、治療を受ける側も、心というものを扱う以上、目に見えないものを見る力をつける、ことをやっているわけです。

見えないものを見ようとしたり、想像したり、それを言語化したり、相手に伝えたり、お互いの感情が交差したり、治療空間の中では多くのことが発生しています。
それはまさに言葉に説明するのは難しいのですが、実際にそれはその場で発生し、なんらかの影響を二人に与えます。

クライエントの方も、自分とは何か、自分らしいとは何か、無意識の意識化、に意識を向けますし、お互いのあっていない期間もなんとなくそういうことを考え続けているわけです。
自分とは何かみたいなことがある程度終了してくると、その感覚は外側へと広がっていきます。

つまり他者とは何か、そして他者が集まった集団の意図とは何か、といった感じで、心の動き、力動がなんとなくですが、感じるようになってくると思います。

精神力動 英語で psychodynamic といいます。

これは固い表現をすると

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「精神力動」は精神分析学、特にフロイトの理論において重要な概念です。これは、個人の精神的エネルギーが様々な心的要素やプロセスによってどのように動かされ、変換されるかを説明するために用いられます。

精神力動の主要な要素:
無意識: 私たちが意識的にアクセスできない心的プロセスや記憶。無意識的な願望、衝動、感情が私たちの行動や思考に影響を与えることがあります。

前意識: 無意識と意識の間に存在し、必要に応じて意識へとアクセスできる記憶や思考の領域。

抑制: 望ましくない思考や感情を意識から遠ざけるためのメカニズム。これにより、不安や苦痛を引き起こす可能性のある衝動をコントロールすることができます。

防衛機制: 精神的な苦痛や内部の衝突から自己を守るために無意識のうちに使用される心理的戦略。例えば、抑圧、否認、投影などがあります。

エネルギーの転移: 精神的エネルギーが一つの対象や活動から別のものへと移動するプロセス。これは、感情の投影や趣味への没頭など、様々な形で現れることがあります。

精神力動の重要性:
精神力動の概念は、個人の内面世界と外部の行動との関連を理解するのに役立ちます。これにより、私たちの行動の背後にある動機や衝動を解明し、心的な衝突やストレスの原因を特定することが可能になります。

精神分析療法では、この力動的なプロセスを理解し、無意識の衝動や感情を意識的なレベルに引き上げることで、個人が自己理解を深め、変化を促進する手助けをします。

まとめ:
精神力動は、個人の心的プロセスとエネルギーの動きを理解するためのフレームワークを提供し、心理学や精神医学の領域で広く利用されています。これにより、内面的な経験と外的な行動との間の複雑な関連を探求し、より豊かな自己理解と心理的な健康を目指すことが可能になります。

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といった感じですが、正直分かったような、分からないような感じですよねw

私も東海大学病院時代に、先輩に力動って結局なんなんですか?と食って掛かったら、その時なんて言われたか覚えていないのですが、腑に落ちたことだけは覚えています。
感情や思考は人と人の間を移動するし、二人いればお互いをいったりきたりして影響を与えあっている。
例えば自分の無意識が、他人に投影されて、それを見ることで自分の無意識をみる、みたいな感じでしょうか。


自分を知れば他人を知れます。自分の本気で嫌なところ、負の部分を理解して受け入れられなくともキープできるようになれば、他人の負の部分をキープする力は確実につきます。

仕事みたいなものでも、個人の力動、集団の力動を意識することができれば、かなり役にたちますし、プライベートの関係でもなんらかのプラスの側面はでてくるはずです。

医療法人永朋会  理事長
加藤 晃司
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