今回は、あらためて、ADHDや自閉症スペクトラム障害(ASD)が基礎疾患にあるのは見逃されているだろう、について解説します。
あらためて、ADHDや自閉症スペクトラム障害(ASD)が基礎疾患にあるのは見逃されているだろう
こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。「
今回は、あらためて、ADHDや自閉症スペクトラム障害(ASD)が基礎疾患にあるのは見逃されているだろう、について解説します。
大人の精神科外来にはさまざまな主訴の人がきます。
今はネットで色々と自分で調べれる時代ですから、患者さん自身が、たぶんこれなんじゃないか、とあたりをつけている場合もあります。
それ自体は問題ないのですが、質問に対してそのあたりをつけている疾患のことのみを話してしまうことがあります。
そうすると、その他のことはあまり気にせず、主訴ところのみに診断や治療が向いてしまいます。
それで問題が解決してしまうなら、結果的にOKだと思います。
ですが、例えばうつ病と診断され、うつ病の治療をしているが、全然状態はよくならないということになると、よろしくないです。
多くの場合、何かうまくいかないことがあって、失敗が続いたり、怒られることが続いたり、ということがあって調子が悪くなっていくと思います。
そのうまくいかないこと、最初のはじまりの部分にADHDとかASDとかがかかわっているなら、やはりそこをなんとかしないと根本的な解決にはなりません。
ADHDや、ASDは生来の苦手さであり、この診断がつくことで過去の人生を振り返り、整理されることもあるでしょう。
なんでうまくいかないのか、努力不足だと思っていた、こういうことはよくあります。
失敗の連続によって自己評価が下がった状態が続くと、自我機能も低下してきます。そうすると、なんとなく元気がない状態になります。
一見うつ病みたいにみえるかもしれませんが、過去からの連続性の中で少しずつ低下した自我機能が原因であれば、それは単発で発生したうつ病の治療とは根本的に異なります。
ADHD、ASDが一般化してきたのはいいことですが、そのことでまた意識しなければ鑑別診断の中に入っていないという状況になってきています。
やはりこのあたりは、ADHD、ASDが基本的には児童精神科で扱う疾患だから、というのがあるからかもしれません。
成人の外来でどの程度、ADHD、ASDが入り込んでいるかは、いまこの時期だからこそ調べた方がいいと思っています。
まとめ
今回は、あらためて、ADHDや自閉症スペクトラム障害(ASD)が基礎疾患にあるのは見逃されているだろう、について解説しました。
不思議なものですが、なんとなく、疾患にも流行りすたりがあります。
メディアで一時的に注目されると、その疾患の診断目的、という主訴の方が増えたります。
ADHD、ASDは、大人になって自分でうまく隠すことができるようになっていると、問診時の困りごとの中にでてこないことがあります。
しかしそれが本質的な原因であれば、それを知らなければ、問題は解決しないでしょう。
発達障害かもしれない、と思ったら、児童精神科へご相談ください。
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