ADHDと双極性障害の区別
ADHDと双極性障害の区別
ADHDの患者さんの20%くらいの方が双極性障害を併発している言われており、海外文献では40~50%と報告されているものもあります。
この二つの疾患は、特定の期間の症状だけを比べると、オーバーラップする症状が非常に多く、診断の区別は非常に難しいです。
・ADHDのみ
・双極性障害(ADHDとの区別が特に難しいのは2型双極性障害)
・ADHDと双極性障害の併発
この二つの疾患について上記の3つの可能性があるわけです。
ADHDの典型的な症状である、不注意、遂行機能障害、多動性、衝動性とも双極性障害で認めうるため、単一の症状だけでは区別が難しいです。
幼少期からのエピソードを拾い集め、継時的に症状を捉えることが病態把握には必要です。
また、うつ病、不安障害などの他疾患の併発考慮する必要があります。
例えば、
〇気分の落ち込みで仕事に集中できず、休職を検討し来院されるケース
①仕事の不注意は以前からあった。
幼少期から不注意のミスや時間を意識した行動の組み立ての苦手さ、待機不能(退屈の授業中にじっとしていられない)を指摘されていた。
今回、ミスが続いたことで叱責されて、抑うつ症状が出現した。
抑うつ症状にて、いっそう不注意の悪化に繋がった。
→生来のADHD傾向に、二次障害として抑うつ気分(状況によりうつ病)を認めたケース
②もともと目立った不注意、多動・衝動性はなかった。
大学生時から、数か月から数年くらいの期間で明らかなうつ症状と躁症状を繰り返す。
現在、抑うつ症状が強く思考制止状態にて、仕事に集中できない。
→双極性障害と診断するケース
③20代の頃から、うつ状態の期間と躁状態の期間を繰り返している。
また、小学校時から不注意・多動・衝動性の傾向を認めた。(診断には至っていないケースも多い。)
もともとショートスリーパーではあるが、躁状態では2時間しか寝ない。
もともと計画性なく買い物をするタイプだが、躁状態では衝動買いが顕著になる。 など
→生来のADHD傾向に双極性障害併発したケース
名駅さこうメンタルクリニック
丹羽亮平
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