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今回は、ペアレントトレーニングが有効な疾患、やり方、有効性、について名古屋の児童精神科医が解説

こんにちは、医療法人永朋会、児童精神科医の加藤晃司です。

今回は、ペアレントトレーニングが有効な疾患、やり方、有効性、について解説します。


ペアレントトレーニングは、私が所属していた東海大学病院の児童精神科では一般的に行われていました。

もちろん、ペアレントトレーニングをしましょう、と明確に伝えることなく、自然にペアレントトレーニングをやっていたことが多かったなと思います。

ですが、今はペアレントトレーニング、という言葉自体が普及したため、外来にペアレントトレーニング目的のような主訴で来院される方も増えてきました。


まずは一般的なペアレントトレーニングについて解説します。


ペアレントトレーニング(親トレーニング)は、特に子供の行動問題や発達障害を持つ子供の親を対象とした介入方法です。このトレーニングは、親が子供の行動を理解し、適切に対応するためのスキルを身につけることを目的としています。

有効な疾患

ペアレントトレーニングは、以下のような疾患や状況で特に有効です:

注意欠如・多動症(ADHD): ADHDを持つ子供の行動管理や親子関係の改善に役立ちます。
自閉症スペクトラム障害(ASD): ASDの子供の社会的スキルやコミュニケーション能力の向上をサポートします。
行動障害: 反抗的挑戦性障害(ODD)や行動障害(CD)など、行動に問題が見られる場合に有効です。
学習障害: 学習障害を持つ子供を支援するための戦略を親が学びます。
感情調節の困難: 感情のコントロールが難しい子供のための支援方法を親が学びます。

やり方

教育セッション: 親が子供の疾患や行動の背後にある心理的・発達的要因を理解するためのセッションが含まれます。
行動管理技術: 親がポジティブな行動を強化し、望ましくない行動を減らすための具体的な技術を学びます。
コミュニケーションスキル: 効果的なコミュニケーションと問題解決のスキルを身につけます。
ストレスマネジメント: 親自身のストレスを管理する方法を学びます。
個別カウンセリングとグループセッション: 個々の家庭のニーズに応じたサポートと、他の親との経験共有が行われます。

有効性

ペアレントトレーニングは、以下のような面で有効性が認められています:

子供の行動改善: 親の適切な対応が、子供の行動問題の減少につながることが多いです。
親子関係の強化: コミュニケーションの改善により、親子間の関係が強化されます。
親のストレス軽減: 子育てのストレスが軽減し、親自身の精神的な健康が改善されることがあります。
家庭全体の生活質の向上: 家庭内の相互作用が改善され、家族全体の生活質が向上することがあります。

結論

ペアレントトレーニングは、子供の特定の発達障害や行動問題に対処するための効果的な手段です。これは、親が子供のニーズを理解し、それに応じて適切に対応するためのスキルを身につけることを目指しています。親自身のサポートと教育を通じて、子供の発達と家庭の生活質が全体的に改善されることが期待されます。


といった感じです。


ですが、養育者の方がトレーニングを受ける、と固くとらえるのではなく、子どもの疾患や症状という入り口ではありますが、養育者自身も自分を知っていく、ために行います。
養育者といっても、人間です。子どものこと以外でも、多くの悩みがあるはずです。それこそ、自分の親と自分の関係だって複雑な方もいると思います。
自分とは何か、このあたりを深堀していくことで、結果的に子どもとの関係も、どうしたらいいのか、見えてくるものがあると思います。
養育者の方が、色んな意味で落ち着いてくれば、おのずと子どもたちも落ち着いてくるところがでてきます。
不安とか、緊張、恐怖、みたいな強い感情は伝達していくからです。

まとめ
今回はペアレントトレーニングについて解説しました。
一般的な目的と、本質的な目的、両方重要だということです。
結局は、家族を構成するすべての人が、安定してこなければ、家族1単位が落ち着いてきません。
子どものために、というだけではなく、自分のためにも治療に参加するといのが、長い目で見ても意味があることだと思います。


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