PTSDの診断が厳密にはされないケースが多いこと
PTSDの診断が厳密にはされないケースが多いこと
昨今、「トラウマ」や「PTSD」といった言葉は、昨今、世間的に広がり耳にする機会は増えていると思います。
これらの言葉の医学的な定義は、多くの方がだいたい認識されている意味で変わりません。
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PTSDの診断についてあらためて、
心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは、圧倒的な恐怖、無力感を感じる出来事であったり、生命の危機に晒されるトラウマ(心的外傷)体験によって引き起こされるストレス性障害のことです。典型的な4つの症状(再体験症状、回避症状、麻痺症状、過覚醒症状)を認めることで知られます。
4つの症状とは、
1.侵入症状:
トラウマとなった出来事に関する不快な記憶が突然フラッシュバックしたり、悪夢として繰り替えされる。
その際、精神的に強い苦痛感を認め、しばしば身体生理的反応(動悸や発汗)を伴う。
2.回避症状:
出来事に関することを思い出したり考えることを極力避けようしたり、想起させるよう な人物、事物、状況や会話を回避する。
3.認知と気分の陰性の変化:
・トラウマのエピソードの記憶がかける(解離性健忘)
・自分を責める感情や持続的な陰性感情の状態(恐怖,戦慄,罪悪感など)
・生活におけるの意欲の減退
・集団における孤立感・疎遠感
4.覚醒度と反応性の著しい変化:
・過度に警戒する気持ちや不安な気持ちを認め、易怒性、ささいなことにもビクッとするような驚愕反応、集中困難、睡眠障害、自己破壊的行動、を認める。
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PTSDの診断は、比較的新しい疾患概念です。診断作成の転換点となったのは、1970年代、膨大な数のベトナム戦争退役軍人が精神的な障害を認めたことでした。
このような歴史上、PTSDは金銭的な補償などの利害関係が生まれることが少からずあり、診断基準として、「圧倒的な恐怖、無力感を感じる出来事」の定義が極めて限定されたものとなっています。例えば、戦争、自然災害、交通事故など。
実際の診察では、「過去の強烈な不安や苦痛をともなうストレス」をきっかけにPTSD症状に悩まされて受診されるケースが非常に多いです。
本人の苦痛感が大きく、その結果、うつ病などの気分障害や解離性障害・パニック性障害などの他の精神障害も認めることも少なくありません。
また、不登校や自宅から外出ができない、などの社会的機能を損なうケースも多いです。
治療に関しては、PTSD症状を認めれば、PTSDに準じた治療を行います。
しかし、こういった状況の診断について、PTSDと診断されるのでしょうか。
PTSD症状を生じている脳内の生理学的現象も典型的な症状群も認めるのに、「きっかけとなるストレスのエピソード」によりPTSDの診断をされるかどうか分かれることに、多少とも違和感を感じます。 社会的に仕方のないことなのでしょうか。
名駅さこうメンタルクリニック
丹羽亮平
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