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今回は、小児の社交不安障害の診断と治療について、名古屋の児童精神科医が解説

小児の社交不安障害の診断と治療について

こんにちは、名古屋市千種区、医療法人永朋会 和光医院、児童精神科医の加藤晃司です。

今回は、小児の社交不安障害の診断と治療について解説します。

まずはDSM-5における社交不安障害の診断基準を確認してみましょう。


①社交不安障害の診断基準

社交不安障害(Social Anxiety Disorder、以前は社交恐怖症として知られていた)の診断基準は、精神障害の診断と統計マニュアル(DSM-5)によって詳細に定義されています。以下は、DSM-5における主要な診断基準の概要です。

明確な恐怖または不安:
患者は一つ以上の社交的な状況(会話、会議、パフォーマンスなど)において、他人によって評価されることに対して恐怖や不安を感じる。

恐怖や不安が不釣り合い:
患者の恐怖や不安は、実際の脅威とは不釣り合いで、文化的な背景を考慮しても過剰である。

社交的な状況の回避または耐え難い不安での参加:
患者は社交的な状況を恐れるため、これらの状況を避けるか、極度の不安や恐れを伴いながら参加する。

臨床的に重大な苦痛や機能の障害:
この恐怖、不安、または回避は、社会的、職業的、または他の重要な機能領域において臨床的に重大な苦痛や障害を引き起こす。

持続性:
恐怖、不安、または回避は通常6ヶ月以上持続する。

他の医学的状態に起因しない:
恐怖、不安、または回避は、物質(薬物、薬剤)の使用や他の医学的状態によるものではない。

他の精神障害によるものではない:
症状は他の精神障害(パニック障害、身体症状障害、身体像障害、自閉スペクトラム障害など)によるものではない。

また、診断時には「パフォーマンスのみの社交不安障害」という特定の状況が注記されることがあります。これは、恐怖が公の場でのパフォーマンスや話すことに限定される場合に適用されます。


次に社交不安障害の治療について

②治療

治療

社交不安障害の治療には主に次の方法が用いられます。

認知行動療法 (CBT):
社交不安に関連する思考パターンや行動を特定し、それらを変えることを目指す。
エクスポージャー療法(徐々に恐れている社交状況に慣れるよう促す)が効果的。

薬物療法:
抗不安薬や抗うつ薬(SSRIなど)が処方されることが多い。
症状の重さや個人の健康状態に応じて適切な薬を選択。

ライフスタイルの変更と自己ケア:
ストレス管理技術の習得、規則正しい運動、睡眠習慣の改善。
アルコールやカフェインの摂取制限。

サポートグループやカウンセリング:
同じ症状を持つ人々との交流や、プロのカウンセラーによるサポート。


精神科の少しややこしいところは、小児科のように児童精神科が一つの診療科として独立していないため、診断基準も基本的には年齢に関係なく同じものを使います。
ですが、大人の社交不安障害と子どもの社交不安障害が同じではありません。

子どもも場合、もともとの不安の強度がベースにありつつ、生育歴上での養育者との関係性、このあたりにかなり強く影響を受けます。

シンプルに病気として社交不安障害になる、というよりかは、社交不安障害のような症状を全面に出して具合を悪くしている、ことが多いです。

ですので、文面上、DSM-5で社交不安障害の診断基準を満たしたとしても、それは本質をとらえていないということが起こりえます。

そうなると、社交不安障害に準じた治療をしても、改善しない、ということになります。

また学校という環境は特殊であり、あまりにストレスが多くなれば、環境的な要素がメインで社交不安障害の症状を一時的に出していることもあります。


まとめ
今回は、小児の社交不安障害について、解説しました。
小児の場合、典型的な社交不安障害はあまりいない、と考えた方がいいでしょう。
もともと不安が強い子、はいても、何も原因なく、社交不安障害様の症状がいきなりでる、ことは少ないということです。
そのあたりは診察して、心理検査して、と細かくみてみないと分からないことが多いですから、社交不安障害の所見に一部あてはまってきたら、一度受診してはっきりさせておく方がいいでしょう。
早いアプローチが必要な場合と、そうでない場合、がありますので、そのことは早めに見極めておいた方がいい。


医療法人永朋会 和光医院
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