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学力喪失 認知科学による回復への道筋

学力喪失 認知科学による回復への道筋

 「学力喪失 認知科学による回復への道筋」



 認知科学・認知心理学を専門とされる心理学者 今井むつみさんの著書の題名です。









この著書に書かれている興味深い例がいくつも挙げられます。



例えば、著者グループが作成した「たつじんテスト」の単語の意味を選ぶ問題にて、



「ひとしい」という単語の意味は?

1:おなじ

2:大きい

3:ちかい



この問題の小学校2,3年の正答率は30%台でした。



6,7割の子供たちが「等しい」の意味が分からないままに、小学校2年生から算数では分数が始まるのです。

つまり、「算数が苦手」とされるお子さんには、「問題文が理解できない」お子さんが多くおり、それは「語彙不足」の側面もある、といえます。





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 昨今の不登校の増加や先生の成り手の減少など、現在の日本の教育のシステムでは、多くの方が認識しているように問題が噴出しています。

 子供の教育や成長過程の問題をすくいあげるものの一つとして、児童精神科を当院は行っておりますが、個々の患者さんへの対応をそれぞれ行うだけでは、根本的な解決には至らないのではないかという無力感を感じることが少なくありません。



 教育とは何なのか? 学校の目的とは何なのか?

 という深淵なテーマは、簡単に答えられるものではありませんが、



 「子どもたちが、社会の中で自立して、健全に生きていくことをできるように促すこと」

 という認識は多くの方の賛同が得られると思います。





 

 その教育過程のなかで、「学力の向上」も目指すわけですが、この「学力」というものが鬼門です。

 そもそも、「学力」の定義そのものがあいまいなのですが、





「生きていく上で獲得した方が良い、年齢相応の学力に類する知識」はやはりあるわけです。







上記著書では、

 今井氏は、乳幼児が言語を習得する際の「学ぶ力」を例に挙げ、この力がなぜ学校教育の場で失われてしまうのかを説明し、そして、学力不振の原因のいくつかを認知科学の視点から取り上げます。


 算数文章題につまずく子どもたちの例を挙げながら、彼らが直面する「単語の意味が分からない事」や教育する側の大人たちの「知識や教育への誤った認識」を指摘しています。





 教育への核心的な内容が平易でかつ読みやすい文章で書かれています。

 興味のある方ぜひ手に取ってください。







名駅さこうメンタルクリニック

丹羽亮平

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