ベルソムラ(スボレキサント)の依存性はあるのか?習慣性医薬品
ベルソムラ(スボレキサント)の依存性はあるのか?習慣性医薬品
自然な眠りの睡眠剤 ロゼレムかベルソムラか?
最近、初めて睡眠剤を処方する患者さんに対し、ベルソムラを処方する機会が増えています。
一番の理由は、睡眠効果に対して、副作用と依存性が低く安全性が高いからです。
そのため、ベルソムラは向精神薬との指定はされておらず、他の向精神病薬と比べて処方日数30日の制限がありません
しかし、処方性をよく見ると「習慣性医薬品」の記載があります。
習慣性医薬品とは、日本の医薬品規制において、長期的または不適切な使用によって心理的・身体的依存が生じる可能性がある薬物を指します。
(必ずしもすべての患者に依存が発生するわけではありませんが、医薬品の特性や作用機序に基づき、適切な使用管理が必要とされます。)
ベルソムラ(スボレキサント)は依存性が低い不眠症治療薬ですが、習慣性医薬品に分類される理由は、薬の作用特性に基づいて慎重に管理されるべきと判断されているからです。
理由を下矢印に詳しく
ベルソムラはオレキシン受容体拮抗薬で、覚醒を維持する脳内物質であるオレキシンの働きを抑えることで睡眠を促します。
ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬とは異なり、GABA受容体を直接刺激しないため、身体的依存のリスクは非常に低いとされています。
・依存性のリスクについて
臨床試験では身体的依存や離脱症状、反跳性不眠のリスクが非常に低いことが確認されています。
しかし、睡眠薬全般に共通する心理的依存(薬がないと眠れない!!と感じてしまう)がベルソムラでも完全に否定されるわけではありません。
そのため、長期使用や不適切な使用が習慣化するリスクを考慮する必要があります。
・習慣性医薬品としての規制理由
ソムラが習慣性医薬品に分類される理由は、
①睡眠薬全般のリスク管理
日本では、睡眠薬や精神作用を持つ薬は、乱用や不適切使用のリスクがあるため、医療機関の処方時に、適切な処方と管理を徹底し特別に慎重に取り扱うべきとされています。
②心理的依存の可能性
ベルソムラは身体的依存のリスクが低いとされていますが、心理的依存(薬がないと不安に感じる、眠れないと感じる)のリスクはゼロではありません。
特に、長期間の使用時には注意が必要です。
③ 国際的な薬物規制との整合性
アメリカでは、ベルソムラは依存性のリスクが比較的低い薬に付けられるSchedule IVに分類されています。しかし、完全にリスクがないわけではありません。
日本でもこの分類を参考にしており、習慣性医薬品としての取り扱いが適切と考えられています。
ベルソムラの依存性や乱用リスクは他の睡眠剤(ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬)に比べて非常に低いとされています。
しかし、長期間の使用や処方に対する取り扱いは注意が必要です!!
名駅さこうメンタルクリニック
院長 丹羽亮平
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